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WCPFC2022閉幕 カツオの漁獲戦略導入を歓迎 カツオの持続可能な管理に大きな一歩

この記事のポイント
2022年11月27日から7日間にわたりベトナムのダナンで開催されていた中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の年次会合が閉幕しました。漁獲量が増加し資源量低下が危惧されるカツオについて、これまでの長年に渡る議論の結果、漁獲戦略の導入が決定。持続可能なカツオの漁業管理に向けて大きな一歩を踏み出しました。
目次

ついにカツオの漁獲戦略導入が決定

2022年11月27日から12月3日まで、ベトナムのダナンにて中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の第19回年次会合が開催されました。

26の加盟国・地域が参加したこの会議では、マグロ類を中心とした漁業資源の保全と利用について話し合いが行なわれました。

©Shuhei Uematsu / WWF Japan

WCPFC19 会場入り口

今回2022年の年次会合では、長年検討されてきたカツオの漁獲戦略について活発な議論が行われ、無事、合意されました。

カツオは刺身やタタキで食べられるだけでなく、出汁のかつお節の原材料としても用いられており、和食にとって大変重要な魚の一つで、その多くが中西部太平洋産です。

近年、カツオは、世界中のツナ缶需要に応えるべく、発展途上国を中心に漁獲量が増大。資源量は過去最低レベルまで減少しています。

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これ以上、むやみに漁獲量増加および資源量低下をさせないためには漁獲制御ルールを含めた漁獲戦略の導入が重要です。
漁獲制御ルールとは、資源の変動に対して自動的に管理措置を改定するための事前に合意したルールのことです。
通常は、資源量低下が明らかになった後、各国で対策を議論し、漁獲圧や漁獲量の削減に合意するというプロセスとなります。しかし、これだと各国の利権が複雑に絡み合うため、漁獲量削減などには合意できず、何の対策もなされないまま資源量が低下していくことが多く見られます。
一方、漁獲制御ルールを事前に合意しておけば、資源低下時にいち早く対策を打つことができるため、持続可能な漁業管理には必須とされています。

WWFは、年次会合に際し、加盟各国に対して漁獲制御ルールを含めた漁獲制御ルール導入を求める要望書を日本企業との連名で提出。また、会議にもオブザーバーとして参加し、上記の必要性を訴えるとともに議論の行方を見守りました。

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議論は難航し、会議最終日の終了時刻過ぎまで議論は続きましたが、無事、カツオの漁獲戦略の導入が合意されました。

メバチ・キハダの漁獲戦略は合意ならず

一方、カツオと同じ熱帯マグロのメバチ・キハダについては、漁獲戦略についての合意はされませんでした。

メバチ、キハダは刺し身マグロとしても人気が高く、特にメバチは日本人が刺身として最も多く消費しているマグロです。しかしこれらの多くは、幼魚の時に人工集魚装置(FADs)を用いたカツオ漁業の混獲で漁獲されており、資源量低下が危惧されています。
よって乱獲を防ぐため、メバチ・キハダについてもカツオと同様に漁獲制御ルールを含めた漁獲戦略の導入が求められていますが、上記のようにメバチ、キハダ、カツオは同時に漁獲されることが多いため、各魚種個別にではなく、3種を同時に管理するための戦略を作成する必要があり、複雑な議論が必要となっています。

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そこで、今後、議論を深め、遅くとも2024年までには漁獲戦略が導入されるよう、2023年にワークショップを開催することが決定しました。

©Shuhei Uematsu / WWF Japan

WCPFC会場風景。対面による会議とオンライン会議のハイブリッドでの開催となりました。

サメの混獲防止措置の強化に合意

マグロやカツオを漁獲する際、多くのサメ類を誤って漁獲してしまう「混獲」が大きな問題となっています。
とくに絶滅危惧種のヨゴレ、クロトガリザメは、漁獲後の船上保持が禁止されているにも関わらず資源量が低下しており、漁獲・混獲時の死亡率を減らすことが長年求められていました。
死亡率を上げる原因として、一部のはえ縄漁業で使われる、シャークライン(浮き球に直接縄と針を設置し、浅いところに分布するサメを効率よく漁獲する漁具)や、ワイヤーライン(仕掛けにかかったサメが逃げにくい金属製ワイヤー)といった漁具があり、それらの使用を規制することについて長年議論されてきました。
2022年の会合では、これらサメが多く分布している北緯20度から南緯20度において、ワイヤーリーダーおよびシャークラインの使用禁止が合意され、絶滅危惧種のサメ類の保全管理措置が強化されました。

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マグロ類資源保全のため 引き続き日本のリーダーシップに期待

2022年の年次会合は、3年ぶりの対面(一部の国はオンライン参加)での会議となり、オンライン開催に比べ活発な議論が行われました。その成果もあり、長年導入が求められていたカツオの漁獲戦略導入や絶滅危惧種のサメの保全管理措置強化が合意されるなど、大きな進捗が見られました。

会合に出席したWWFジャパン海洋水産グループ水産資源管理マネージャーの植松周平は、今回の結果について次のように述べています。

「8年以上の議論を経て、ようやくカツオの漁獲戦略導入に合意できたことは大変喜ばしいことです。より予防原則に沿った管理措置の合意に向けて、日本が議論を主導し、加盟各国に積極的な働きかけを行ったことは、世界有数のカツオ消費国であり漁業国でもある水産大国として、大きな責任を果たしたと言えます。

また、日本だけでなく世界中の水産企業・団体から、要望書などを通じて漁獲戦略導入への働きかけがあったことも、今回の合意につながりました。

依然として日本沿岸へのカツオ来遊量が少ない中、今回の合意内容が十分であるか引き続き注視する必要はありますが、無秩序な漁獲量増大を防ぐことができる今回の合意は、持続可能なカツオ漁業実現に向け、大きな一歩を踏み出したと言えます。

引き続き日本には、世界の水産企業・団体を巻き込みながら、メバチ、キハダの漁獲戦略導入に向け、リーダーシップを発揮することを期待しています」

今回の会合では、行政だけでなく、企業やNGOなど多くのステークホルダーが協力することで、長年の課題を解決できることができました。

メバチ・キハダの漁獲戦略やIUU漁業対策など、依然として課題は山積みですが、WWFは引き続き各ステークホルダーと連携し、課題解決に取り組んでいきます。

©Shuhei Uematsu / WWF Japan

会議に参加したWWFスタッフ。WWFを始めとするNGO間のチームワークが十分に発揮された会合となりました。

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