ゾウとサイの密猟と違法取引を止めるWWFの取り組み


アフリカ大陸に今、乱獲の嵐が迫っています。保護区である国立公園でも、ゾウやサイの密猟事件が多発。ゾウは主にアフリカ中部で、サイは南アフリカで。その勢いは、かつて彼らを絶滅の縁に追い込んだ、1980年代以前の乱獲に迫るほどです。ゾウの牙は、高級な工芸品の材料「象牙」として、サイの角は、伝統的な薬の原料「犀角」として、昔から主にアジアで需要がありました。しかし、アジアの経済発展とともに、象牙や犀角の値段が高騰。組織的な密猟や違法取引につながっていると見られています。

いま、アフリカで起きていること...

一度の密猟で300頭のゾウが犠牲に

2012年初頭、カメルーンのブバ・ンジダ国立公園で、300頭以上のアフリカゾウが殺害された現場。頭部を斧で割られ、牙を持ち去られた遺骸が累々と横たわっています。象牙はスーダンに運ばれ、そこからアジアへ密輸されたと見られています。象牙のために命を奪われるゾウは、今や世界で毎年12,000頭にのぼると推定されています。

角を切り取られながら生き延びたサイ

密猟者によって角を切り取られたメスのサイ(左)。チェーンソーで周囲の骨ごと、角をえぐり取られましたが、奇跡的に保護され、一命をとりとめました。現在、南アフリカ共和国のトゥゲラ私設保護区で、獣医が経過を見守っています。しかし、一緒にいたはずの生後4週間の子どもは、数日後、亡骸となって発見されました。

「密猟の取り締まり」は、命がけの仕事

密猟の取り締まりに出かけるレンジャーと、見送る家族。アフリカ中部の国、ガボンでの光景です。広大な国立公園をパトロールして回るため、彼が次に家族のもとに帰れるのは2週間後です。ここ数年、高性能の武器で武装した密猟団によって、レンジャーが殺傷される事件が相次いでいるため、まさに命がけの任務となっています。

増え続ける密猟の件数

南アフリカ共和国は、100年以上にわたってサイの保護に成功してきた国です。そのため、現在、アフリカの中で最も多くのサイが暮らす国となっています。しかし、長年にわたって低く抑えられてきたサイの密猟数が、2008年に突然、83頭に跳ね上がりました。その後も増え続け、2012年はついに500頭を超える恐れが出てきています。

この危機を脱するために

野生生物保護のための十分な資金もなく、人口の増加や開発への要求とも何とか折り合いをつけながら、ゾウやサイを守るため、尽力してきた現地・アフリカの人々。今、この人々は、行き場のない怒りと、言いようのない不安を抱きつつ、厳しい現実と対峙しています。WWFは1961年の設立当初から、アフリカの野生生物保護に力を注いできました。現在起きている、このアフリカの危機に対しても、世界のWWFの力を結集して取り組みます。WWFジャパンでは、日本国内で支援を募り、以下の取り組みを支援してゆきます。

マルミミゾウを密猟から守る!:ロベケ国立公園への支援

カメルーンの南東にあるロベケ国立公園は、「最高級の象牙」を持つといわれ、密猟の危機が加速しているマルミミゾウの重要な生息地で、近年密猟が深刻化しています。1990年代終わりの内戦の影響が今も尾を引いているコンゴ共和国との国境地帯にあたるためです。

具体的には、以下の活動を中心とした取り組みを支援します。

  • <ロベケ国立公園で展開される野生生物調査
  • 密猟の監視
  • その他の違法行為の取り締まり強化
  • 先住民が密猟者に雇われないようにするための対策(森に詳しい先住民のガイドがなければ、奥地での密猟はできない)

サイが狙われる原因を断つ!:TRAFFICへの支援

サイの密猟が急増している最大の原因は、ベトナムで「癌(ガン)に効く」「滋養強壮剤」などと喧伝されていること。野生生物の違法取引をなくすため活動している国際組織TRAFFICは、取引監視や情報発信を行なっています。

具体的には、以下の活動を中心とした取り組みを支援します。

  • サイ角には、ガンに効くような科学的な薬効が認められていないことを、ベトナムの人々に知らせる
  • ベトナム政府がサイ角の違法取引を確実に摘発するよう働きかける
    また、犯罪者には、厳罰が課されるよう改善を求める(現在は罰金を払っても密輸による儲けのほうが大きい)
  • TRAFFICイーストアジアジャパンによる象牙やサイ角等の市場調査

違法取引を許さない!:違法取引根絶キャンペーンの支援

WWFとTRAFFICは、違法取引根絶キャンペーンを展開しています。これは、2013年3月にタイで開かれる第16回ワシントン条約締約国会議に向けて、ゾウ、サイ、トラの密猟と違法取引に関係する国々の政府に対し、規制・取締り・罰則の強化を求めるものです。

日本からも、

  • 一般市民に、密猟と違法取引の問題を広く知らせ、改善を求める声を集めて政府を動かす力にしていきます
  • 野生生物の違法取引が、国際的な犯罪として認識され、厳しい取締りと、再発防止に効果のある規制と、厳罰が実行されるようになることをめざします

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