進行中!途上国の温暖化対策のチェック
2016/05/22
ドイツのボンより、温暖化担当の小西です。
こちらで開かれている国連会議で、いつも対立しがちな先進国、途上国がともにニコニコ~♪という珍しい?一幕がありました。
途上国の温室効果ガスの削減行動を、世界の国々がチェックする!という会合です。
これは、温暖化対策の国際交渉上、初めての画期的なプロセス。
というのも、これまでの京都議定書の下では、先進国だけが削減義務を負っていたため、途上国は削減行動に取り組んでも、それを国際的に公表する必要がなかったからです。

「チェック」の会合の会場。各国代表が集まります。
ですが、2013年以降は、2010年の国連会議で交わされた「カンクン合意」のもと、途上国も自主的に削減行動を持っていますので、その削減行動が実施できているかについてのはじめての国際的な「チェック」のプロセスが行われたわけです。
ちなみに、パリ協定では、2020年以降、先進国と途上国のすべての国が削減目標を持つことが、義務として定められましたので、この「チェック」のプロセスは、「パリ協定」では、原則として先進国と途上国は同じ制度の下で行なわれることになっています。
しかし、今回のカンクン合意の下における「チェック」は、まだ途上国に対しては厳しくチェックするような場ではなく、あくまで「いかに促進できるか意見を共有する」という位置付けなので、各国も非常に気を使って質問をしていました。

発表はアルファベット順のため、トップバッターはアゼルバイジャンの担当官でした。ほめ言葉の連続にニコニコ顔!
たとえば「削減行動の報告にあたって、難しい点があったか?何かサポートはできるか?」とか「どのようなサポートがあったらもっとよくできるか?」などです。
特に先進国側は、削減行動の結果を発表する途上国を勇気づけようと、ほぼ全面的に褒めたたえている状態。
中には、カナダ代表のように「報告をありがとう」というつもりで、「削減報告書を出してくれてありがとう」と言い間違える例も(笑)。
とかく先進国と途上国の対立が目立つ温暖化防止の国際会議で、これだけ雰囲気のよい会合はめったに見ないので、非常に明るい気分になれました!!
会議はまだまだ続きます。

ブラジルの代表もご機嫌。数百ページに上る報告書をどんと机の上に出し、「よかったら持って帰って」と冗談と飛ばしていました!
現地報告
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イベント情報
このボン会議の報告会が6月8日(水)、東京・新宿にて、CAN-Japanの主催で行なわれます。 ぜひご参加ください!