© David441491(CC BY-NC-ND 2.0)

「生きた化石」オーストラリアハイギョの密輸発覚!


皆さんはオーストラリアハイギョという魚をご存じですか?

4億年も前から、今とほぼ同じ姿でいることから、「生きた化石」と呼ばれています。

また「ハイギョ(肺魚)」と言われるだけあって、水面に顔を出し、空気から直接酸素を取り込むことのできる、とてもユニークな魚です。

オーストラリアの限られた地域だけに生息しますが、絶滅のおそれが高いとされ、ワシントン条約で国際取引が規制されています。

そして昨日、このオーストラリアハイギョの密輸事件が報道されました。

報道によると、逮捕されたのは日本人。
輸入に必要な書類を取得せずに、税関では別の魚を輸入すると嘘の申告をして密輸をしたとのことです。

オーストラリアハイギョが生息する、クイーンズランド州の川。生息域は州東部のごく一部に限られていますが、ダムの建設などでその面積は今もなお縮小しています。
© James W. Thorsell / WWF

オーストラリアハイギョが生息する、クイーンズランド州の川。生息域は州東部のごく一部に限られていますが、ダムの建設などでその面積は今もなお縮小しています。

このオーストラリアハイギョのペット人気が高まったのは、2000年以降。

昨日の朝日新聞によれば、捜査関係者は「より希少、より高額なペットを追い求め、以前人気のあったアジアアロワナから需要が流れた」と指摘しているそうです。

1980年~1995年にかけて違法取引が相次いだアジアアロワナ。登録繁殖施設で個体識別措置が施された個体のみが輸入できる。
© WWF / Urs Woy

1980年~1995年にかけて違法取引が相次いだアジアアロワナ。登録繁殖施設で個体識別措置が施された個体のみが輸入できる。

コツメカワウソにショウガラゴ、ペットブームが原因で、密輸が増加し、さらに絶滅の危機に追いやられてしまった動物はたくさんいます。

価値がなくなるまで、生きものが絶滅するまで、捕獲して利用し続ける。
そうした風潮を変えるためには、生きものを買い求める人たちの意識を変えることが重要です。

「希少な種が次々に密輸され、絶滅が危ぶまれるものもある。海外の生態系を壊すことにもつながる」、そんな捜査官の言葉が胸にささります。

【寄付のお願い】好きだからこそ 違法な取引から野生動物を守りたい

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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