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オガサワラカワラヒワを絶滅させない!


「オガサワラシジミ絶滅か!」というショッキングなニュースを覚えておいでの方も多いと思います。

世界自然遺産の地、小笠原諸島で、また固有種が絶滅の淵に立たされています。

オガサワラカワラヒワは、環境省レッドリストに最も絶滅のおそれが高い「絶滅危惧IA類」として掲載され、「種の保存法」で国内希少野生動植物種として保護されているが、個体数は減少し続けています。従来から小笠原の固有亜種と考えられていましたが、今年になって東アジアに生息するカワラヒワとは別の種であるという論文が発表されました。
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オガサワラカワラヒワは、環境省レッドリストに最も絶滅のおそれが高い「絶滅危惧IA類」として掲載され、「種の保存法」で国内希少野生動植物種として保護されているが、個体数は減少し続けています。従来から小笠原の固有亜種と考えられていましたが、今年になって東アジアに生息するカワラヒワとは別の種であるという論文が発表されました。

それは、島でくざいもん(標準和名:オガサワラカワラヒワ)と呼ばれる小さな野鳥です。

最新の調査の結果、オガサワラカワラヒワの成鳥はわずか200羽しかおらず、このまま何もしなければ30年後に絶滅してしまう可能性が高いことが分かりました。

大きな脅威となっているのは、人が持ち込んだ外来生物。クマネズミやドブネズミが巣を荒らし、ノネコが地面でエサを啄む若鳥を襲うのです。

母島列島の姉島の林内で日中に出てきたドブネズミ
©オガサワラカワラヒワ保全計画作りワークショップ実行委員会

母島列島の姉島の林内で日中に出てきたドブネズミ

残されたわずかな時間で何ができるのか?地元NPO・アイランズケアと小笠原自然文化研究所を中心に、研究者や島の人々が真剣に取り組んでいます。

11月には、島民向けに研究者からオガサワラカワラヒワの現状についての講演が行われました。現在はクマネズミが生息していない母島周囲の5島と南硫黄島でしか繁殖していないこと、ハハジマメグロよりヤンバルクイナよりずっと生息数が少ないことなどが説明されました。

PHVAワークショップのロゴマーク。翼の黄色い模様は、オガサワラカワラヒワの繁殖地の数を示しています。PHVAワークショッププロセスとは、IUCN(国際自然保護連合)種の保存委員会の保全計画策定専門家グループが提唱する絶滅危機種の保全計画をつくる手法です。
©オガサワラカワラヒワ保全計画作りワークショップ実行委員会

PHVAワークショップのロゴマーク。翼の黄色い模様は、オガサワラカワラヒワの繁殖地の数を示しています。PHVAワークショッププロセスとは、IUCN(国際自然保護連合)種の保存委員会の保全計画策定専門家グループが提唱する絶滅危機種の保全計画をつくる手法です。

12月19日に専門家、行政、島民やNPOなど関係者が参加して、この固有種をどのように保全していくべきか考え、計画をつくるPHVA*ワークショップが開催されます。来月には島外からのオンライン参加も可能な関連イベントも開催されます。

*PHVA:Population and Habitat Viability Assessment(個体群と生息地の存続可能性評価)

オガサワラカワラヒワ保全計画作りワークショップ

2008年のアカガシラカラスバト保全計画作りワークショップの様子。この保全計画の実施により、10年間で個体数を10倍に増やすという素晴らしい成果を上げています。
©アカポッポネットワーク

2008年のアカガシラカラスバト保全計画作りワークショップの様子。この保全計画の実施により、10年間で個体数を10倍に増やすという素晴らしい成果を上げています。

オガサワラカワラヒワが絶滅するということは、ただ小さな鳥が200羽いなくなるだけではありません。世界からこの種が完全に失われることを意味します。鶸色の翼を持つこの可憐な鳥をぜったいに絶滅させたくありません(淡水・教育・PSP室 若尾)。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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