© Chris Linder / WWF-US

IからWeの時代へ:新しい医療は持続可能な社会から


先日、国際開発機構主催のオンラインセミナー「COVID-19と保健分野の国際協力の展望」に参加しました。

JICA専門員などとしてアフリカでの長い活動経験をお持ちの医師・杉下智彦氏が、感染症の歴史、臨床象やなぜアフリカで感染爆発が起こっていないのか、など多岐にわたる内容を最新の情報と共に語られました。

私が最も興味深く感じたのが、

「今後の社会は、医療を進歩させて個々人の抱える病に打ち勝つのではなく、社会を改革して医療システムも強化し、広い意味での健康を保つものであるべき。
そして、その基礎となるのが人類による消費が地球の資源量を超えない社会システムの構築である。」

というお話でした。

これは、まさにWWFのめざす持続可能な社会創りのこと!

講演資料より。COVID-19は、「先進国の飽くなき欲望と過剰な利益追求が、調和のとれた生態系を破壊している」ことから起こり、グローバル経済の拡大によって世界中に広まった。今回のパンデミックにより、社会の変革の必要性が明らかになった。
© T.Sugishita

講演資料より。COVID-19は、「先進国の飽くなき欲望と過剰な利益追求が、調和のとれた生態系を破壊している」ことから起こり、グローバル経済の拡大によって世界中に広まった。今回のパンデミックにより、社会の変革の必要性が明らかになった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、終息の目途は立たず、「ウィズコロナ」社会を真剣に模索しなくてはいけません。

しかも、のんびりやっている時間もありません。

感染症拡大の根本的な原因は、自然環境の破壊と、弱い立場の人々を追い込む社会的な不平等の問題です。

報告書『COVID 19: urgent call to protect people and nature (COVID 19:人と自然を守るための緊急の呼びかけ)』。WWFは次の点を動物由来感染症の発生を促進する要因として挙げている。1. 高いリスクを伴った野生生物の取引と消費、2. 森林破壊を引き起こす土地の転換と利用の変化、3. 非持続可能な形での農業と畜産の拡大

報告書『COVID 19: urgent call to protect people and nature (COVID 19:人と自然を守るための緊急の呼びかけ)』。WWFは次の点を動物由来感染症の発生を促進する要因として挙げている。
1. 高いリスクを伴った野生生物の取引と消費、2. 森林破壊を引き起こす土地の転換と利用の変化、3. 非持続可能な形での農業と畜産の拡大

この自然と人間社会のゆがんだ今の関係を、持続可能な「新たな関係」へ創り直すため、この機会に自分の生活様式や行動をしっかり見つめなおして、変えていきたいと思います。

セミナーは、「これからは“IからWeの時代”です」と結ばれました。

私ひとりの行動の変化はとても小さなものです。でも、その小さな変化を集めれば…。
そう、ひとりでは難しいことも一緒ならできます。Together Possible!(自然保護室 若尾)

© T.Sugishita

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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