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ペット関連企業でも「エキゾチックペット問題」を考える!


新型コロナウイルス感染症による生活環境の変化で、ペットを求める人たちが急増していると言われています。

また、このコロナによる大変な状況を乗り越えるのに、ペットの存在がなくてはならなかった、と答える人もいるそうです。

ただ、「癒し」や「喜び」を与えてくれるペット需要の裏側では、野生動物の「密輸」が起きていることを忘れてはなりません。

ペットとして人気が高いピグミーマーモセット。過去に密輸されたことがある動物種のひとつ。
©TRAFFIC

ペットとして人気が高いピグミーマーモセット。過去に密輸されたことがある動物種のひとつ。

海外産のフクロウやオオトカゲ、小型のサルなど、日本には生息していない野生動物をペットにした「エキゾチックペット」は長年、その犠牲になってきました。

日本向けの密輸事件が後を絶ちません。

TRAFFICが2020年6月に発表した報告書によると、2007年~2018年に日本向けの密輸として押収された野生動物のエキゾチックペットは合計1,161匹にも及びます。

TRAFFICが2020年6月に発表した報告書によると、2007年~2018年に日本向けの密輸として押収された野生動物のエキゾチックペットは合計1,161匹にも及びます。

この無くならない密輸問題に、ペットに携わる企業でも関心が高まっています。

先日、ペット保険を提供するアニコム損害保険株式会社で、社員の皆さんにエキゾチックペットの問題をお話ししてきました。

講義では国際取引規制や密輸が起こる背景、無秩序なペット需要に動物由来感染症問題まで多岐に渡って解説。参加者の皆さんは1時間にも及ぶ講義に熱心にメモを取り、耳を傾けてくださいました。
©WWF ジャパン

講義では国際取引規制や密輸が起こる背景、無秩序なペット需要に動物由来感染症問題まで多岐に渡って解説。参加者の皆さんは1時間にも及ぶ講義に熱心にメモを取り、耳を傾けてくださいました。

参加者からは、たくさんの質問をいただくとともに、エキゾチックペット需要が生態系を脅かす問題であることへの認識が高まった、密輸問題の解決のために貢献したい、という声が聞かれました!

密輸が起こる要因には、水際での摘発率の低さ、不十分な日本の法規制、販売事業者の責任の欠如、などさまざまです。

こうした問題を解決するためには、国、販売事業者、ペット関連企業、消費者などが、それぞれの責任と役割を認識し、連携して取り組んでいくことが重要です。

持続可能なエキゾチックペット取引の実現に向け、これからも関係者への働きかけとサポートを行なっていきたいと思います。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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