©Brian Myers

1.5度に気温上昇を抑えることは可能?IPCC1.5度報告書発表


韓国のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)会議より、温暖化担当の小西です。
10月8日、温暖化の影響についての最新の報告書が発表されました!
世界は今、2015年に決まったパリ協定によって、「平均気温の上昇を2度未満、できれば1.5度」に抑えるべく温暖化対策を進めています。

これまでに平均気温は約1度上がっているのですが、2018年の日本の夏は、温暖化によってかさ上げされたとみられる猛暑や洪水など極端な気象現象に襲われました。これからもっと気温が上がったらどうなるのでしょうか?

©Ola Jennersten / WWF-Sweden

10月8日に発表された今回の報告書は、その疑問に答えるものです。
これは、1.5度に気温が上がった場合に、どんな影響が出るかを初めて示すものでした。
それによると、実は2度に気温が上がるよりも1.5度に抑える方がずっと影響が少なくて済むことがわかりました。
猛暑や洪水はもちろんのこと、熱中症や蚊による伝染病などの健康被害、さらにサンゴなどの生態系の被害も少ないのです。0.5度の差は大きいことが指摘されたのです。

©WWF / James Morgan

でも2度に抑えるのも難しいのに、1.5度に抑えるなんてできるのでしょうか?
この報告書はそれも可能だと示しました。
ただし「2030年までに温室効果ガスの排出をほぼ現状の半分」にして、「2050年には実質ゼロ」にする必要があると指摘したのです。
つまり、これから10数年の対策の加速がものをいう、と示したのです。

これを不可能、と決めつけるのは簡単です。
しかし、私が参加した韓国におけるIPCCの会合では、世界195か国の政府が一堂に会して、この1.5度報告書を真剣に検討して、承認していく有様を目の当たりにしました。
世界の温暖化対策は、この1.5度報告書の登場とともに、1.5度がこれからのキーワードになってくる勢いを感じました。
この夏の、被害を目の当たりにした私たち、少なくともこの報告書が示す内容を真摯に検討していきませんか?
1.5度報告書の概要はぜひ下記をご覧ください。

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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