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パキスタン洪水 緊急支援(寄付)のお願い

この記事のポイント
2022年夏、パキスタンで大規模な洪水による被害が発生しています。9月3日までのパキスタン政府や報道の発表によれば、国土の3分の1が水没したともいわれ、被災者は3,300万人、亡くなられた方は1,290人にのぼるとされています。9月上旬の時点ではまだ収束をみていない、この大規模な災害について、世界のWWFはWWFパキスタンを通じた現地の活動支援を行ないつつ、この大災害の原因と考えられる気候変動(地球温暖化)の深刻な影響を抑える必要性を強く訴え、その取り組みを促進するための緊急支援を、広く呼び掛けています。ぜひ、緊急支援へのご協力をお願いいたします。
目次

パキスタンで発生した大規模な洪水被害

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パキスタンでは2022年、モンスーン(雨期)が始まった6月の初旬以降、長期間の雨が続き、インダス川流域を中心に、同国では過去最悪といわれる規模の大洪水が発生しました。

被害は、国土の3分の1の面積に及び、被災者は3,300万人以上、亡くなられた方は1,200人以上にのぼり、その3分の1が子どもたちだとされています。

また、被災した家屋は100万戸以上、農地は8,000平方キロ、死亡した家畜は75万頭以上ともいわれ、暮らしや経済への長期的な影響も、避けられない状況となっています。

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WWFパキスタンが同国内で、環境保全活動に取り組んできた現場でも被害が発生しています。シンド州では、23の村、1万7,000人の住人と、130名のプロジェクト関係者が被災。カイバル・パクトゥンクワ州でも100世帯以上の住民と農地、家畜に大きな被害が発生しました。

何が大洪水をもたらしたか

パキスタン政府の統計によれば、同国の7月の降雨量は1961年以降、最も多く、例年の3倍近くにのぼりました。また、北部の山岳地帯では氷河湖の決壊も、多発したとみられています。

パキスタンのシェリー・レーマン気候変動相は、この災害の原因が気候変動により引き起こされたものだ、と指摘し、同時に温室効果ガスを世界全体の1%以下しか排出していないパキスタンには、氷河の融解を止めるすべは無い、と訴えています。

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確かに、氷河の融解やモンスーンの長期化、局地的な降水量の極端な増加は、パキスタン以外の国でも生じている、深刻な干ばつや洪水、台風の強大化などと同様、気候変動によってもたらされた可能性が高いといえるでしょう。

そして、パキスタンのような、温室効果ガスの排出量が大きくない開発途上国の人々が、気候変動の影響と被害を真っ先に受ける状況は、決して公正な状態とは言えません。この観点から、現下の気候危機は、「気候正義」の問題であるとも言われるようになり、国際的にも最優先の緊急課題となっています。

しかしそれと同時に、今回パキスタンで水害が拡大した背景には、長年続いてきた保水力を持つ森林の伐採や、低地や氾濫原での開発の促進といった、土地利用計画の不備もあると考えられます。

温室効果ガスの排出を削減し、気候変動をくい止めていくことはもちろん、森林の保全や、環境に配慮した経済活動を実現し、気候危機へのレジリエンスを高めていく取り組みも、確実に実現していかなければ、今回のような災害は、必ず繰り返されることになるのです。

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「パリ協定」でも示されている通り、温暖化の危機をなんとか人類と共存できるレベルに抑えるためには、二酸化炭素(CO2)の排出ゼロを実現し、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える必要があり、世界のWWFは現在、これを実現するための活動に、力を合わせて取り組んでいます。

日本の私たちに今、できることを

パキスタンへの支援

WWFは今回の大災害について、世界各地で緊急支援を呼びかけ、気候変動対策とWWFパキスタンのプロジェクトを通じたコミュニティ支援や防災・減災の取り組みの促進を目指しています。

想定している活動の具体例

  • 詳細な被害についての調査
  • 農業者1万3,000人を対象とした生計代替手段の支援
  • 洪水が発生しやすい谷で2,200haの森林を回復
  • カイバル・パクトゥンクワ州の14のコミュニティへの支援
  • 沿岸域の1000世帯の漁業者の操業再開支援

パキスタンでは状況が毎日のように変わっているため、現地の判断を優先しつつ、パキスタンの人々と、その自然を守る取り組みを、国際的な協力のもとで支えていきます。

地球温暖化(気候変動)への取り組み

また、このような災害をこれ以上増加させないためには、パキスタンだけではなく、世界中の国で気候変動の影響を抑える取り組みが、何よりも重要です。

地球温暖化と気象に関連した災害は、過去 20 年間で 40% 増加しており、特に開発途上国で深刻な規模で発生しています。過去 10 年間で犠牲になった人の数は、約 41 万人。その10 人に 9 人は開発途上国の人々でした。

パキスタンも、世界の温室効果ガス排出量で見れば1%未満ですが、地球温暖化の影響に対して、最も脆弱な国のトップ10に数えられています。

このように、世界には地球温暖化による影響と被害を、すでに強く受けている国々が数多くあります。


その事実は、近年異常気象に見舞われ続けている日本の私たちにとっても、同様に緊急かつ深刻な危機が迫っていることを示すものであり、自分自身の問題として取り組まねばならない課題なのです。

【終了しました】緊急支援へのご協力をよろしくお願いいたします

※2022年11月30日で終了しました。ご協力いただきありがとうございました

WWFジャパンではすでに、WWFパキスタンへの支援を決定し、最初の現地への送金に着手しましたが、課題の規模と活動の必要性を考えると、まだ支援が不足しています。

パキスタンでの現地活動と地球温暖化への取り組みを支えるため、今すぐWWFの緊急支援にご協力ください。

*お寄せいただいた寄付金は、WWFパキスタンが取り組むプロジェクトへの支援と、地球温暖化問題への取り組みに充当させていただきます。

*WWFへのご寄付は、確定申告によって寄付控除(税制優遇)を受けることができます。(募金、Yahoo! ネット募金は
対象外となりますのでご了承ください。)

*パキスタン現地とその活動については、状況が流動的で、支援金の受付・活用についても、現状では長期的な見通しが立っていないため、想定を上回る寄付金が集まった場合は、温暖化防止活動をはじめ、WWFの自然環境や野生生物を守る活動に充当させていただきます。

事務局長より

パキスタン洪水への緊急支援キャンペーン報告

パキスタンでは2022年6月から数カ月にわたり続いた記録的な豪雨に見舞われ、家屋や家畜が流され、農地や作物、インフラが被害を受けました。過去数十年で最悪とされるこの自然災害によって、国土の3分の1ほどの面積が水没したとされ、1,700人以上が命を落とし、人口の約15%にあたる約3,300万人が影響を受け、同国を危機的状況に追い込む事態となりました。

この問題について、2022年9月14日~11月30日にWWFジャパンが実施した、パキスタン洪水への緊急支援キャンペーンに対し、のべ872件、3,911,768円のご寄付を賜りました。

お預かりしたご寄付は、WWFパキスタンを通じ、被害を受けたコミュニティを支援するための緊急救援と物資の提供をはじめ、今後に向け計画している下記の用途に役立てられます。

皆さまの温かいご支援、誠にありがとうございます。

  • 詳細な被害についての調査
  • 農業者1万3,000人を対象とした生計代替手段の支援
  • 洪水が発生しやすい谷で2,200haの森林を回復
  • カイバル・パクトゥンクワ州の14のコミュニティへの支援
  • 沿岸域の1,000世帯の漁業者の操業再開支援

この取り組みには、日本だけでなく、イギリスをはじめとした各国のWWFも力を合わせて支援を行ない、気候関連のリスクに備え適応できるよう、気候変動へのレジリエンスを構築する取り組みを進めてまいります。

これから冬を迎える現場では深刻な状況が続いていますが、皆さまのご支援のもと、これからも取り組みを行なってまいりますので、引き続きこの問題にご関心をお持ちいただければ幸いです。

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