見つかった新たな足跡!シベリアトラの追加調査1日目


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

自然保護室の川江です。
先日、極東ロシアで2日間行なわれた、シベリアトラの個体数調査の追加実施に参加してきました。今回の調査では、日本のマスコミ3社にもご同行いただきました。

追加調査が行なわれたのは、ウスリスキー保護区を中心とした約1,000平方キロの範囲。

ここは、事前調査では、7~8頭のトラの足跡が確認されていたにもかかわらず、2月1~15日に行なわれた一斉調査の際には、2頭のメスの成獣の足跡しか確認できませんでした。

シベリアトラ

さらに、2年前には仔トラ2頭も確認されていたのですが、一斉調査では仔トラの足跡も確認できていません。

こうしたまだ見つかっていないトラの足跡を探すため、今回の追加調査が行なわれました。

調査では、山道や周囲にトラの足跡がないかを探しながら、慎重にゆっくりと進みます。

雪深い今の季節、トラは移動が大変な雪原を避けて、雪が踏み固められて歩きやすい、車のわだちに沿って移動することが多くあるためです。

前日についたメストラの足跡。きれいなまま残っている。

そして、移動すること約1時間、トラの足跡を発見!

この足跡は10日程前のもので、形がはっきりとせず、正確なデータは取れませんでしたが、それでも足跡や歩幅のおおよその大きさから、オスのトラであることがわかりました。

これは、一斉調査の際には発見されていなかった個体で、新たに見つかった1頭になりました。

そして、そこからしばらく進むと、次は車のわだちに沿って歩く、別の足跡を発見!

報道陣の取材を受けながら足跡のサイズを測る、WWFロシアアムール支部のパベル。シベリアトラ調査のコーディネーターを務めている。

この足跡は、前日に残されたもので、詳細な測定が可能。前足9cm、後足8.5cmのメスの成獣であることが判明しました。

このメスは、残念ながら、一斉調査で既に発見されている個体で、新たな個体の発見にはなりませんでした。それでもマスメディアの方々に、きれいなトラの足跡を撮影していただけたのは、大きな収穫でした。

2日目の調査では、仔トラや新たな個体の足跡が見つかったのか? 追って、このブログでご報告したいと思います。

四つん這いになってトラのマーキングの方法を伝える。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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