【第3部:費用算定編】 第4章 費用算定のまとめ


費用算定シナリオ:第4章 費用算定のまとめ

ここでは、以上の費用計算についてとりまとめ、GDPに対する割合を検討した。

1)WWFシナリオの各種費用の合計

WWFシナリオの費用を、省エネルギーと自然エネルギーについてまとめると表4.1のようになった。

2010年から2050年までの40年間の設備投資は、省エネルギーに210兆円、自然エネルギーに232兆円、合計で442兆円であり、運転費用は省エネルギー−398兆円、自然エネルギーが−275兆円、合計で−673兆円である。

正味費用は省エネルギー−188兆円、自然エネルギー−43兆円、合計−232兆円となった。省エネルギーの導入がきわめて有効であることを示している。

上記の計算における太陽光と風力発電の費用については、純粋電力の部分のみを詳細に計算したが、燃料用電力の供給には、ほぼ同量の太陽光と風力発電が必要であり、この部分を加えている。

設備投資金額に対する正味費用の割合は、投資の有効性を示しており、省エネルギーで−90%、自然エネルギーで−19%となっている。化石燃料の価格が増大していくとき、ここでも、省エネルギーの導入がきわめて有効であることを示している。

図4.1および図4.2は、それぞれ省エネルギーおよび自然エネルギー分野での40年間の設備投資額を、対策・技術やエネルギー源ごとにまとめている。省エネルギー分野では、乗用車の切り替えが最も大きな投資を要し、続いて、住宅の断熱化、産業の省エネに大きな投資が必要であることがわかる。自然エネルギーについては、太陽光が圧倒的に大きな投資を要していることがわかる。

2010~2050年における省エネルギーと自然エネルギーの合計費用を、1年間の平均値としてまとめると表4.2および図4.3のようになる。設備投資は年間11兆円、運転費用は−17兆円、正味費用は−6兆円になっている。

2)GDPに対する割合


WWFシナリオではBAUシナリオと同様に、GDPは2008年の544兆円から2050年の851兆円に1.56倍に増大する。40年間の平均GDPは697兆円であり、エネルギー設備投資は40年間で442兆円、1年間に平均11兆円となり、これは40年間の平均の年間GDPに対して1.6%に相当する。

表4.3には、40年間の各年における各費用のGDPに対する割合を示している。
GDPに対するそれぞれの費用の割合は、図4.4に示すように、設備投資がほぼ毎年一定であるのに対して、運転費用はマイナスで次第に減少してゆくことがわかる。そして、正味費用は2030年を過ぎるとマイナスに転じて減少してゆく。

本報告ではすべての最終用途の省エネルギーについて検討できなかったが、省エネルギ ーと自然エネルギーの年間費用の割合は、GDPのおおよそ2%程度と推定される。

つまり、WWFシナリオにおいては、毎年GDPの約1~2%程度の追加的な設備投資が 必要とされるが、省エネルギーや自然エネルギーの普及によって削減されるエネルギー費 用によって、2030年ごろからは正味では便益に転じる。さらに2050年に向かって運転費用 が大幅に減少していくことによって、正味では大きな便益をもたらすといえる。

脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案 目次

脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案 <第三部 費用算定>
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第1章 エネルギー価格と費用算定の方法
1.1 エネルギー価格
1.2 将来の電力価格
1.3 費用算定の方法
1.4 費用算定の対象
第2章 省エネルギーの費用
2.1 産業部門の省エネルギー費用
2.2 家庭部門の省エネルギー費用
2.3 業務部門の省エネルギー費用
2.4 運輸部門の省エネルギー費用
第3章 自然エネルギーの費用算定
3.1 太陽光発電の費用
3.2 風力発電の費用
3.3 地熱発電の費用
3.4 水力発電の費用
3.5 太陽熱の費用
3.6 バイオマスの費用
第4章 費用算定のまとめ

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