©WWF Japan

生物多様性スクール特別企画「生物多様性と日本文化――日本の四季、茶道と俳句に見る生物多様性」開催報告/アーカイブ動画

この記事のポイント
国連の生物多様性条約第15回締約国会議(第二部)が開催される2022年は、2030年までの国際目標を定める生物多様性枠組(GBF)が作られる重要な1年になります。WWFジャパンは、生物多様性の重要性と取り巻く問題を知ってもらうために、2022年1⽉から毎⽉「生物多様性スクール」を開催。各回著名な有識者を招き、気候、⾷と農業、⾦融、ビジネスなど、⾝近な切り⼝で⽣物多様性と私たちの暮らし・社会との関わりについて考えています。5月29日には、特別企画として「生物多様性と日本文化」を実施。当日のイベントの様子をご紹介します。詳しくは、ぜひアーカイブ動画をご視聴ください。
目次

開催概要: 生物多様性スクール 特別企画「生物多様性と日本文化――日本の四季、茶道と俳句に見る生物多様性」

日時
2022年5月29日(日) 13:30 ~ 15:30
場所
東京都杉並区の茶室「星岡」よりオンライン配信
主催
WWFジャパン
参加者
参加登録者数854名
登壇者
河⼝眞理⼦/WWFジャパン理事、⽴教⼤学21世紀社会デザイン研究科特任教授、不⼆製油グループ本社CEO補佐
廣瀬悦哉/株式会社QUICK ESG研究所エグゼクティブ・アドバイザー、俳⼈
⼩⻄雅⼦/WWFジャパン専⾨ディレクター(環境・エネルギー)、昭和⼥⼦⼤学特命教授兼務、裏千家茶道助教授、⼩原流華道家元教授

アーカイブ動画

©WWF Japan

日本の文化や暮らしは、生物多様性の豊さが基盤

真夏日になった5月最後の日曜日。
俳句や茶道といった⽇本の伝統⽂化を切り⼝に、⽣物多様性の大切さについて知ってもらうセミナーを、東京都杉並区のお茶室「星岡」の会場からオンライン配信で行いました。

©WWF Japan

WWFジャパン理事で、本イベントの発案者・モデレーターの河口眞理子氏は、「生物多様性は遠くにある難しいものという風に思っている人が多いが、我われは、多様な命と生態系の中でいまの文明をつくってきて、生物多様性は人がまさに生きるための基盤です。特に日本の文化や暮らしは、生物多様性の豊さの上に成り立っていると感じます。生物多様性を俳句や茶道の世界から見たらどうつながっているのか、皆さんとお話しながら紐解いていき、新たな気づきを楽しみたい。自分たちの外に生物多様性がある、海外から新しい概念が来た、というイメージを覆したい」とご挨拶しました。

©WWF Japan

俳句とは生物多様性を詠むもの

俳人でESG投資の専門家でもある廣瀬悦哉氏は、俳句とは五七五のリズムを基本にした十七文字の世界で最も短い詩で、季節を詠むものと解説。「歳時記」は、季節の言葉を集めた辞典のようなもので、俳人にとってのバイブルであると言います。俳句は、いわば生物多様性を詠むもので、歳時記は生物多様性の辞典と言えるようです。

今、その俳句の季語にも変化が。たとえば、「新緑」という季語は本来初夏ですが、今は桜が散るとすぐに新緑になる。気候変動で季節が早く進み、季語の持つ季節感が少しずつ変わってきていると言います。また、「生物多様性が失われたら、俳句の多様性も失われる、俳人にとって、生物多様性は資本である」として、それを守る大切さを説きました。

©WWF Japan

茶道文化に忍び寄る、気候変動や生物多様性喪失の危機

WWFジャパン専門ディレクターで裏千家茶道助教授でもある小西雅子は、茶道は「茶を飲む」という日常の行為を「道」に高めた日本文化と語ります。
客人に心を込めてお茶を点てる中で、季節やテーマに沿って、茶道具や花、掛け軸が整えられ、季節感というストーリーを味わいながらお茶を飲む時間。茶道は、生物多様性の上に成り立ち、生物多様性あってのものと言います。

©WWF Japan

ただ、その茶道文化にも生物多様性喪失、地球温暖化の影響が忍び寄ります。
例えば、火を起こす炉の置き方は季節によって変えますが、地球温暖化の影響で、年々夏は猛暑になり、長くなっています。炉の置き方に伝統的な季節感の意味がなくなるのでは、と懸念を示しました。また、お茶時で使う植物も季節感を表しますが、例えば「石菖(せきしょう)」というこの植物は、開発や環境の変化で減少していると言います。伝統の植物等が姿を消す中で文化はどうなっていくのか、大きなテーマです。

©WWF Japan

小西は、茶箱を使ったお茶の点前を披露し、登壇者に一服差し上げました。茶箱や茶器、和菓⼦の視点からも、私たちの文化と自然の恵みについて考えました。

©WWF Japan
©WWF Japan

登壇者3名によるディスカッションパートでは、気候変動や生物多様性の喪失によって影響を受け、変わりゆく⽇本⽂化について考えました。

これだけ気候が変わっていたら、季語も変わるのか?
こうした変化を、俳句や茶道の関係者はどのように受け止めているのか?
変わっていくものと、変わってはいけないものとは?
私たちが守るべきものは何か?

©WWF Japan

詳しくは、ぜひアーカイブ動画をご視聴ください。

絵で分かる、スクールのポイント!

グラレコ(グラフィックレコーディング)アーティストのainiさんに、今回のスクールのポイントを絵にまとめてもらいました!

次回開催

これまでの生物多様性スクール

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP