南アのサイ密猟数、2011年を上回り過去最悪に


南アフリカ当局が 2012年10月17日に公表した、自国内のサイの密猟統計によると、2012年10月半ばの時点で、すでに455頭のサイが密猟によって殺されたことがわかりました。この数は、角を目的に2011年の1年間に殺されたサイの数448頭を上回る数字で、過去最悪の記録です。

増え続ける密猟の犠牲

WWF南アフリカのサイ担当コーディネータ、ジョー・ショー博士は、今回、南アフリカ政府が明らかにした密猟統計について、次のように述べています。

「最新の数字には本当に失望しています。10月の半ばだというのに、すでに2011年の総数を超えてしまったのですから。世界的にも有名なサファリ観光地であるクルーガー国立公園は、現在も最も深刻な密猟被害を受けており、現時点ですでに272頭のサイが殺されています」。

この密猟急増の背景には、ベトナムをはじめとするアジア地域で、サイの角を売買する新たな市場が、2007年以降大きくなっていることが指摘されています。

WWFの提携団体であり、野生生物取引の監視ネットワークとして活動するTRAFFICの報告によれば、これらの地域では、サイの角は、その効能に科学的な根拠が無いにもかかわらず、二日酔いの回復薬やガンの治療薬として大げさに宣伝され、高値で売買されています。

取り締まりの強化も

こうした問題の解決において重要なのは、南アフリカ政府が、角の消費国であるアジア諸国の政府と連携し、サイの角の違法な取引に関与する国際シンジケートと闘うことです。

そしてWWFは、この違法取引に対する各国の共同的取り組みについての覚書が、まだベトナムとの間で締結されていないことを懸念しています。

また、特にモザンビークなど、これらの不法な取引に通過ルートとして関与している隣接国も、直ちに法的な強制措置を実施する必要があります。

国内での取り締まりが、どれだけ徹底できるかも、密猟をくい止める大きな要素です。南アフリカでは2012年10月までに、207人の密猟者やブローカー、運び屋が警察に拘留されました。

2012年10月の終わりには、サイ密猟の大物シンジケートといわれる、「グローエンヴァルド・ギャング」が、南アフリカの裁判所に出廷しました。サファリツアー事業者、獣医、プロのハンター、ヘリのパイロットで構成されるこのグループには、角のない状態で発見されたサイ20頭を殺した嫌疑がかけられています。

ショー博士は次のように述べています。
「南アフリカがサイに関わる犯罪に対して法律が定めるとおりに訴追し、これらの犯罪を南アフリカの国家的遺産に対する公然の侮辱として真剣にとらえる覚悟ができているかどうか。今、世界が注視しています」。

判決はまだわかりませんが、サイに関わる犯罪の逮捕者数は、南アフリカ国内では確実に増えており、この野生生物の不法な取引の抑制に向けた南アフリカ政府と法執行機関 の継続した努力は高い評価に値するものです。 

続く保護活動と密猟の戦い

 それでも、さらなる努力がこれからも求められていることに、変わりはありません。

これまでのところ、南アフリカでは長年にわたる保護活動によって、サイの個体数がわずかながらも、持続的に増加しています。密猟による犠牲を考慮に入れても、出生数は死亡数を上回っており、まだ希望は失われていません。

しかし、このままサイの数が減少に転じるおそれも、十分にあります。保護のための取り組みの足元を揺るがす重大な転換点に近付いていることは確かなのです。

WWFは現在、南アフリカでサイの個体数をできるだけ早く回復するための取り組みを支援。2012年10月には、生息エリアを拡大するプロジェクトの一環として、13頭のサイを新しい生息地に送りました。こうした取り組みにより、南アフリカでは一度姿を消していたクロサイの個体群を8つ、新たに定着させることに成功しています。

また、サイの角のような野生生物産品の不法取引に関係している国の政府に対し、法の執行を強化し、強力な抑止策を導入するとともに、絶滅危惧種から得られる生産品の消費を思いとどまらせるような、広範囲に及ぶ需要抑制キャンペーンを実施するよう求めています。

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角を切り取られたメスのシロサイ。南アのトゥゲラ私設保護区(Tugela Private Game Reserve)にて。

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クロサイ。現在、確認されている総個体数が5,000頭に満たない絶滅危惧種。かつては生息していたが、今では絶滅した地域も多い。

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サイの移送プロジェクト。ヘリコプターを使い、眠らせたサイを短時間、短距離で運ぶ

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