持続可能なブリ類の養殖管理を!ASC検討会はじまる


2013年10月16、17日、日本のブリ類養殖の一大産地である鹿児島県において、ブリ・スギ類養殖管理検討会が開催されます。これは自然環境と社会問題に配慮した養殖業の確立と普及を目指したASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)認証基準に関する会合で、一般の関係者から意見を出す最後の機会となります。

養殖業のもたらす利点と課題

人工的な「養殖」に育てられた魚介類などの水産物は、消費者の好みに合わせて色や食感、風味を調整することができ、また天然の水産物より安定した生産が見込めるため、世界的な水産物需要の増加に伴い急成長を遂げています。

今や私たちがふだん口にする水産物のおよそ半分は養殖水産物と言われています。

ところが、養殖業の拡大に伴いさまざまな自然環境問題、社会問題が各地で起こり始めました。

エビ養殖におけるマングローブ林の破壊や沿岸環境の汚染は、養殖業がもたらす環境問題の一例です。

エビ養殖場のために開発が進むタンザニアのマングローブ林

ブリ類養殖のメッカ、日本

日本で好まれる魚の一種、ブリもまた、養殖業の対象となっている、主要な魚の一種です。

ブリは成長とともに呼び名が変わる出世魚として有名ですが、このことからも日本との関わりの深さがうかがえます。

ブリ養殖の歴史は事業化された海水魚養殖としてはもっとも古く、昭和初期にまでさかのぼります。

今では九州四国地方を中心として毎年14000トンほどが生産され、各地で独自の品質管理とブランド化が進められてきました。

カンパチ、ヒラマサなどをも含めたブリの仲間の養殖生産量は、世界全体の実に90%以上を日本が占めており、まさにブリ類養殖のメッカといえるでしょう

ブリ類養殖における自然環境問題

しかし、このブリ類の養殖については、その生産過程で改善しなければならない課題があります。

まずはエサや稚魚の由来の問題。
ブリ類のような肉食性の魚のエサは、アンチョビー(カタクチイワシ)などの小魚が主原料となっています。

またブリ類の多くは天然の稚魚を漁獲し、生け簀で大きく育てる養殖法が一般的ですが、これらはいずれも、養殖業が天然魚の資源に大きく頼っており、無制限な利用が続けば、海の生態系のかく乱にもつながる恐れがあることを示しています。

この他、病害虫や養殖魚の出す糞による環境汚染などの懸念もあります。
さまざまな技術開発も進められていますが、こうした取り組みを可能な限り改善し、より自然環境と社会に配慮した養殖業へと転換するために生まれたのが、ASC認証なのです。

日本の県別ブリ生産量

日本のブリ養殖場(鹿児島県)

エサ原料としての需要の拡大に伴い資源管理が急がれる小型魚漁業(チリ)

日本発の養殖のグローバルスタンダードを

ASC認証基準は、自然環境と社会問題に配慮した世界共通の基準です。
対象種ごとに基準作りが進められていますが、現在、日本のブリ類の養殖がその最終段階に入ろうとしています。

すでに世界では、ティラピアとパンガシウス(ナマズ類)について、東南アジアと中南米にある50もの養殖場が認証を取得。2012年より、ASCラベルがついた製品を流通させ始めています。

ブリ類養殖は日本で確立され、品質改善と技術開発が進められてきました。それらには、自然環境への配慮も含まれています。これについて、ASCの認証を取得することで、国際的な信頼と、環境配慮のアピールを行なうことは、次世代の漁業を推進してゆく上で、大きな一歩となるでしょう。

第3回ブリ・スギ類水産養殖管理検討会
(2013年2月12-13日 東京)

今回鹿児島で開催されるASCの検討会は、これまでの知見を反映させるとともに、世界の市場で通用する持続可能な養殖について意見交換をする重要な機会となります。ブリ類養殖に関心のある方は、是非ご参加ください。

なお、ブリ・スギ類水産養殖管理基準(第二草案)に対するパブリックコメントの募集が開始されています(下記リンク参照)。こちらへの意見投稿もお願いします。

第4回ブリ・スギ類水産養殖管理検討会

日時 10月16日13:00~17:00、17日9:00~17:00
会場 サンプラザ天文館2階ホール(鹿児島市東千石町2-30)
主催 ブリ・スギ類水産養殖管理検討会運営委員会
事務局 WWFジャパン

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