©Ola Jennersten / WWF-Sweden

「鬼」たちの飛ぶ空


毎年2月3日のところが、2021年は124年ぶりに2月2日になる!ということで、話題になっている今年の「節分」。

最近は、節分に登場する「鬼」たちも話題になっていますが、この「鬼」という言葉、注意してみると、さまざまなところで使われています。

名前に「オニ」のつく野生動物も結構います。
哺乳類では乏しいが、鳥類では多数が知られており、いずれも大きさや、力強さを感じさせる点が共通しています。

たとえば、WWFが森林保全に力を入れている、東南アジアのメコン川流域に生息するオニトキや、木の幹に頭を下にして止まる、ユニークな姿のオニゴジュウカラ。

これらは、トキ類、ゴジュウカラ類でそれぞれ世界最大の種とされています。

全長が60センチにもなる、オーストラリア最大のフクロウの一種であるオニアオバズクも、こうした形容が当てはまる鳥。

何より英名が「Powerful owl」ですから、これまたドンピシャな印象です。

しかし、力強さの一方で、絶滅の危機にある鳥も多く、オニトキなどは生息環境の破壊などにより、推定個体数が200羽以下まで減少。

オニアオバズクも一度は絶滅危惧種から外れましたが、生息域が近年のオーストラリアの森林火災の被災地に重なっていることから、その影響が心配されます。

「マンタ」の名で知られるオニイトマキエイ。海の世界にも「オニ」のつく生きものたちは多く息づいています。
©WWF / Vincent Kneefel

「マンタ」の名で知られるオニイトマキエイ。海の世界にも「オニ」のつく生きものたちは多く息づいています。

かつては奥深い山や森に棲んでいたであろう本物の「鬼」たちは、人の世界の広がりと、科学の進歩によって、姿が見られなくなってしまいました。

しかし、オニの名を冠する野生生物たちは、深刻な自然破壊や密猟の脅威にさらされながらも、地球上のさまざまな景観の中で、今も息づいています。

この「オニ」たちが自由に飛ぶ空が、124年後にも見られるように。

節分の今日、あらためて頑張らねばと思います。

水鳥の一種オニアジサシ。以前、冬の松島湾でゆったり飛ぶカモメの群れの中、1羽だけ戦闘機のように高速で飛び回る姿を見てビックリしました。その迫力と、赤く太い大きなくちばしは、なるほど「鬼」の名にふさわしいものでした。
© Shutterstock / Dave Montreuil / WWF

水鳥の一種オニアジサシ。以前、冬の松島湾でゆったり飛ぶカモメの群れの中、1羽だけ戦闘機のように高速で飛び回る姿を見てビックリしました。その迫力と、赤く太い大きなくちばしは、なるほど「鬼」の名にふさわしいものでした。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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