パリ協定が採択されてから初めての国連会議がスタート!


ドイツのボンより、温暖化担当の小西です。
こちらで気候変動に関する国連の会合「パリ協定特別作業部会」が始まりました。

昨年末に「パリ協定」が成立して以来、初めて開催される準備会合です。

世界200カ国余りが、先進国と途上国の対立を乗り越えて合意したパリ協定。

「21世紀後半には温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」にすることを目指し、参加と協力を約束した、この歴史的な合意を実現するには、どんなルールが必要なのか。

そのルールブックを作っていく作業の始まりです。

初日は、ちょっとドキドキ。
というのは、今まで画期的な国際合意ができた直後には、ほぼ必ず「譲歩しすぎた」と感じる国々が強く抵抗して、議事がストップすることがあるためです。

案の定、今回もG77と呼ばれる途上国グループが「ボン会合で話し合うべき項目(アジェンダ)を変えてほしい」と発言。

特にもめているのは、各国の出す「目標」の「登録簿」をいかに作るか。

この目標には、各国による温室効果ガスの削減目標だけではなく、温暖化の被害に対する「適応」に必要な、資金・技術支援の目標があります。

先進国が削減目標を主に考えている一方で、途上国は自国への資金支援や適応についての目標を強調したい。

つまりこれは、双方の意見の相違から生まれる国際的な政治の戦いなのです。

会議初日、まもなく任期が終了する温暖化防止条約事務局のフィゲレス事務局長にプレゼントが渡されました。「パリ協定」採択への尽力を称えたもので、会場は大きな拍手に包まれました。パリ協定採択の感動がよみがえった瞬間でした!

しかし、これ以外の議論は無事にスタートしています。

パリ協定で示された「世界が協力して温暖化対策に取り組もう!」というスピリットが、このボン会合でも発揮され、スムーズに議論が進んでほしいと強く願わずにはいられません。

今回のボン会合には、ヨーロッパやアフリカ、アジアなどから20人前後のWWFメンバーが参加してその進展を見守っています。ぜひ応援してくださいね!!

関連情報

今年の年末に開催されるCOP22はモロッコのマラケシュで行なわれる予定です!

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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