パリ協定、ようやくルール作りがはじまった!


国連の会議が開かれているドイツ、ボンより温暖化担当の小西です。

こちらは気温18度前後の気持ちいい季節。環境配慮の行き届いた会議場も、天井がガラス張りで、きれいな青空がのぞいています。

ここでは今、「パリ協定」で決まったさまざまな温暖化対策を、実行に移すための、具体的なルールを作りが進められています。

昨年末に決まった「パリ協定」は、世界のすべての国を対象とした画期的な国際協定!

でも、ルール作りがきちんとできなければ、その協定も実効性が約束されません。

しかも会議には対立がつきもので、今回のボン会合でも、このルール作りに際してまず何の項目を優先するのかをめぐり、先進国と途上国の間で意見が合わず、議論が最初から止まってしまいました。

限られた時間の中で、会議はいったいどうなるのか。
私たちも政府代表へ働きかけや、情報収集のため会場を走り回っていましたが、ようやく木曜日に、項目だてが決まり、ルール作りの議論が始まりました!

結局、先進国が進めたい温室効果ガスの削減目標の項目と、途上国が求めている温暖化への適応や資金支援の項目を、同時に話し合っていくことで決着したのです。

本来ならば、どちらかを優先した方が、ルール作りは早く進むのですが、それを不満として一部の国々が議論を止めてしまう事態になれば、できる話もできません。

そうした政治的な難しさを抱えながら、一つ一つ大切なルール作りの議論が進められています。

とにもかくにも、ようやくこれで、パリ協定のルール作りの議論が本格的にスタートしました!

交渉が進み始めて、行きかう交渉官たちの足取りも軽くなっています。

ボン会合会期の残すところあと1週間。

中身のある議論を期待しつつ、そのゆくえを追いたいと思います!

関連情報

この記事をシェアする

専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP