©Ola Jennersten / WWF-Sweden

淡水イルカ全種に絶滅の危機 ~IUCNレッドリスト更新(2020年12月)~


IUCNレッドリストが2020年7月に続いて12月10日に更新され、3万5,765種の野生生物が、絶滅の危機にあることが指摘されました。

今回、保全活動が成果をあげ、絶滅危惧種のカテゴリーからはずれた例としてヨーロッパバイソンが強調されています。
ただ、ポーランド、ベラルーシ、ロシアに47の野生の個体群がありますが、孤立しており、将来は生息地を保護区化して、交流できるようにする必要があるとされました。

©Ola Jennersten / WWF-Sweden

回復したヨーロッパバイソンの大半は開けた牧草地でなく、冬に食べ物が不足しがちな森林地帯に生息している問題もある

一方、南米のコビトイルカがEN(絶滅危惧種)となったことで、淡水に生息する世界のイルカ全種が絶滅のおそれのある種となってしまいました。
原因は、漁具にからまって命を落とす混獲や、ダム開発、水質汚染などです。

© Fernando Trujillo(IUCN提供)

新たにEN(絶滅危惧種)の分類となってしまったコビトイルカ(南米)

フィリピンにあるラナオ湖と流域の17の淡水魚は15種がすでにEX(絶滅)で、2種がCR(近絶滅種)になっています。
WWFの『生きている地球レポート2020』にもある通り、淡水域は人類にも有用であることから、特に激しい開発にさらされてきました。その影響がレッドリストにも見てとることができます。

©Armi G. Torres(IUCN提供)

ラナオ湖のすでに絶滅してしまった淡水魚たち(フィリピン・ミンダナオ島)

© Armi G. Torres(IUCN提供)

ラナオ湖畔

©Tony van Kampen (CC-BY) (IUCN提供)

今回、VU(危急種)に分類されたマカダミア。マカダミアも野生のものには絶滅の危機が迫る。

さらに、カエルツボカビ症という感染症によって、中米では3種のカエルが絶滅に至りました。さらに、中南米のカエル22種がCR(近絶滅種)に。この22種は科学的には確定していませんが、すでに絶滅している可能性があるとされました。

来年、生物多様性条約締約国会議が予定されており、2030年までの保全の世界目標が議論されます。
ヨーロッパバイソンの例で保全活動の意義が確かめられた今、意欲的な目標を掲げ、目標達成に向けて、一層努力を傾ける必要のあることが明らかになったと言えるでしょう。

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C&M室 メディアグループ所属
大倉 寿之

メディアを通じた環境情報の発信を担当しています。ESDなど教育に関わる仕事も手がけています。

90年代の諫早干拓問題やオゾン層破壊の話題はけたたましくアラーム音が鳴り響く「警告の赤」。一方、今の温暖化の進行や自然資源の過剰消費は、いつみても「要注意の黄」がともっている状態なのかもしれません。これに慣れっこになってはいけない、そう思いながら、環境ニュースに日々感度の高いアンテナを張っています。

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