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火災を引き起こす、紙と油?


今日は、日本であまり報道されないインドネシアのニュースをお知らせします。
インドネシアでは9月から何百万人もが呼吸器官系の健康被害を訴え、一部の州では、10月末まで非常事態宣言が発動されました。
原因は、森林や泥炭地での火災が都市部にもたらす煙害(ヘイズ)です。
通常、泥炭地は湿地であるため燃えにくく、発生原因は人的要因だと指摘されています。

泥炭地とその地上に広がる森。こうした場所が燃やされ、アブラヤシやアカシアのプランテーションが造られます。
©WWF Indonesia / Koko Yulianto

泥炭地とその地上に広がる森。こうした場所が燃やされ、アブラヤシやアカシアのプランテーションが造られます。

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インドネシアの環境林業省は、今年の1月~9月15日までで約33万ヘクタールが消失したことを発表。
これは、東京都の面積(約21万9千ヘクタール)を優に上回る勢いです。

火災が目立ち始めた6月から、10月15日までの4カ月半で、起きた火災件数は30万件を上回ります。
©Global Forest Watch Fire

火災が目立ち始めた6月から、10月15日までの4カ月半で、起きた火災件数は30万件を上回ります。

煙害の影響により、森にすむオランウータンが気管支炎や肺炎などを患っていることも報告されています。
© Shutterstock / Natalia Schuchardt / WWF-Sweden

煙害の影響により、森にすむオランウータンが気管支炎や肺炎などを患っていることも報告されています。

そして、この火災は、海を隔てた日本とも間接的につながっています。
生活に身近な「紙製品」や、多くの加工食品に含まれる植物油「パーム油」の生産過程でこうした火災が引き起こされているからです。

森の木々が伐採され、排水路が掘られた様子。向かって左に、紙・パルプ用の植林地(アカシアプランテーション)が造成されています。火災の跡地にパーム油の原料、アブラヤシが植えられるケースも多く見受けられます。
© Eyes on the Forest

森の木々が伐採され、排水路が掘られた様子。向かって左に、紙・パルプ用の植林地(アカシアプランテーション)が造成されています。火災の跡地にパーム油の原料、アブラヤシが植えられるケースも多く見受けられます。

森林や泥炭地に、紙の原料となる植林木のプランテーションや、パーム油の原料となるアブラヤシの農園を造成する際の、整地を目的に火が利用されているのです。

2019年9月2日(月)~9日(月)までに新しく観測された火災発生地点はスマトラ島内で7,205件。植林地からは1,649件、事業許可のあるアブラヤシ農園からは151件です。それ以外の5,405件を含め、ほとんどが泥炭地から検出されています
© Eyes on the Forest

2019年9月2日(月)~9日(月)までに新しく観測された火災発生地点はスマトラ島内で7,205件。植林地からは1,649件、事業許可のあるアブラヤシ農園からは151件です。それ以外の5,405件を含め、ほとんどが泥炭地から検出されています

しかし、すべての紙製品やパーム油の生産に問題があるわけではありません。
森に配慮して持続可能に生産された紙や木材、パーム油も存在します。
今日はそうした製品に付されるFSC®やRSPOのマークを紹介します。

この2つはそれぞれ、火の利用はもとより、
貴重な自然林を植林地にしたり、泥炭地を農地にしたりすることを禁止する認証制度。
日本でもこうした製品を選ぶことで、生産国に残されている貴重な自然環境を守ることができるのです。

パーム油を100%輸入でまかない、コピー用紙など、日常で多く使う紙製品をインドネシアから輸入している日本に住む私たちだからこそ、買うときの責任も、インパクトも大きいのだと思います。
私も選ぶことから、できることを、できるだけ、積極的に増やしていきたいです。

インドネシア産のルーズリーフ。「植林木」という単語にはエコなイメージがありますが、もし、植林木を植えるために森が失われ、泥炭火災が起きているのであれば、環境にやさしいとは言えません。
© WWF Japan

インドネシア産のルーズリーフ。「植林木」という単語にはエコなイメージがありますが、もし、植林木を植えるために森が失われ、泥炭火災が起きているのであれば、環境にやさしいとは言えません。

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自然保護室 森林グループ所属
伊藤 小百合

消費者向けのアウトリーチと、フィールドでの活動を発信するコミュニケーションを担当。

ツンドラでの植生調査、在来種の苗木屋さん、科学館職員を経て、このお仕事に就きました。新しく知るだけでは、変えられない世界があるから、誰もができるアクションをおみやげにできるようなコミュニケーションが目標です。

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WWFは世界約100か国で活動している
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