原発も、温暖化もない地球の未来を


web担当の三間です。先日、このブログの記事に対するコメントをお寄せいただきました。
「原発がああなった以上、温暖化への取り組みを一時的に後回しにするのはやむをえないことではないでしょうか? 」というご趣旨のものです。確かに一つの見識であり、同じお考えをお持ちの方は、多くいらっしゃるかと思います。

誤解されているかもしれないので申し上げておきますが、復興のため火力発電を一時的に多く稼動することは、WWFも現実的に止むを得ないと考えています。
ただ、今私たちが求めている、「未来に向けたエネルギー政策のあり方や目標」の中では、あくまで自然エネルギーを推進すべきものとして、位置付けねばならないと考えています。

原発はもちろん、廃絶すべきです。
そして、その機会は同時に、新たなエネルギーを普及させる大きな機会でもあります。もしかしたら、日本が世界でトップクラスの、自然エネルギー国になるチャンスにできるかもしれません。

ですが今ここで、「25%削減」という目標を諦めることは、こうした新しい意欲的なエネルギー政策を、今後十数年にわたり、日本が追求する意思を持たない姿勢を示すものです。

もう一つ、震災を理由に「温暖化の進行はやむなし」と言えない点は、実際に世界の各地では、すでに温暖化の影響によって自然が脅かされ、苦しんでいる人たちがいる、ということです。

たとえば、タイでは、雨季の長期化、集中豪雨が多発し、家屋が冠水し、農業も困難になっているといいます。
そのタイの国のスラムから、今回の震災の被災者に義援金が届けられました。

タイだけではありません。日本のために祈り、援助の手を差し伸べてくれた途上国の人々が、温暖化で脅かされているのです。海面上昇や異常気象で暮らしを失う人たちは、津波で暮らしを奪われた被災者の方々と、人として同じ苦難を受けておられます。

その中で今、私たち日本人が、世界に向けて宣言すべきは、どちらでしょうか。
「復興のためには、温暖化防止を諦めるのはやむをえない」か。
「原発もやめ、温暖化も止めてみせる、新しいエネルギーの国を作る」か。

確かに、後者の選択は困難ですし、現実的ではない、というご意見はあろうかと思います。
ですが、私たちのような地球の環境保全をめざし、活動を続けてきた団体としては、「温暖化が進むのは仕方ない」とは、絶対に主張できません。

たとえ夢だといわれても、その実現のために我々は知恵と力の限りを尽くしたいと考えます。
今おこなっている署名は、その意思に対する賛同を募るものでもあります。
一人でも多くの方が、共に考えて、行動してくださることを願っています。

この記事をシェアする

自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP