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森林火災によるヘイズ(煙霧)を身をもって体験


今年の8月頃、日本でもインドネシアの森林火災がニュースになっていました。
日本政府も、森林火災支援として初となる自衛隊派遣を行いました。
それから10月になり、日本ではニュースにならなくなりましたが、森林火災は今も止まっていません。
森林火災の問題は火災そのものだけではありません。
火災により発生した煙はヘイズ(煙霧)となって国境も海も超えて広がり、非常に多くの人々や野生動物に健康被害をもたらすのです。
そのような中、10月初めにスマトラ島リアウ州を訪問する機会があり、図らずもヘイズを身をもって体験することとなりました。

ジャカルタ近郊(東部)を降下中の飛行機より。全体的に白っぽいもののヘイズかどうかは分からなかった。
©WWF-Japan/T.Iwabuchi

ジャカルタ近郊(東部)を降下中の飛行機より。全体的に白っぽいもののヘイズかどうかは分からなかった。

1枚目の写真はジャカルタに降下している飛行機から撮影した写真です。
白っぽいモヤがかかっているように見えますが、ジャカルタはもともと大気汚染が深刻なため、これがヘイズなのかどうかは分かりませんでした。

活動地の近くの街の様子。濃い霧がかかったように白っぽい。ヘイズと霧の混ざったものらしい。
©WWF-Japan/T.Iwabuchi

活動地の近くの街の様子。濃い霧がかかったように白っぽい。ヘイズと霧の混ざったものらしい。

2枚目は、活動地の近くの街の写真です。
大きな街ではないので大気汚染はあまりないのですが、白っぽくなっています。
ただし朝だったため、霧なのかヘイズなのか分かりませんでした。
現地スタッフは、霧とヘイズが混ざっている、と言っていました。
見た目では見分けがつきません。

ヘイズにより夕日のように赤く見える太陽。
©WWF-Japan/T.Iwabuchi

ヘイズにより夕日のように赤く見える太陽。

確信に変わったのは、太陽を見た時です。
太陽が高い位置にあるにも関わらず、夕日のような赤い色をしていました。
霧であれば、太陽は白く光って見えるはずです。
ヘイズの場合は、PM2.5などの粒子が青い光を多く吸収するため、赤く見えるのです。
スモッグでも同様に赤く見えるそうですが、この地域では大気汚染は無いため、ヘイズによるものだと分かりました。

大気質が分かるアプリで見ても、滞在中はずっと「Unhealthy(健康に良くない)」と表示されていましたので、マスクをして過ごしていました。

帰りの飛行機から撮った写真。太陽は白く見えていますが、水田に反射した太陽(赤で囲った部分)は、不気味な赤い色をしています。
©WWF-Japan/T.Iwabuchi

帰りの飛行機から撮った写真。太陽は白く見えていますが、水田に反射した太陽(赤で囲った部分)は、不気味な赤い色をしています。

一週間足らずの滞在でしたので、のどが少し痛くなったくらいで、とくに健康を害するようなことはありませんでしたが、現地で生活している方々のことを考えると、胸が痛くなりました。
赤ちゃんや年配の方、呼吸器に疾患のある方などは、本当に心配でなりません。
森林火災は、森林保全のためだけでなく、地域の人々にとっても深刻な問題です。
ヘイズは海を渡り、マレーシアやシンガポールにも影響を及ぼす国際問題にもなっています。
さらに、インドネシア政府によれば、地球温暖化によってスマトラ島では洪水と干ばつの両方のリスクが高まると予想されており、今後ヘイズはより規模が大きくなっていくかもしれません。
森林火災のほとんどは人為的に火をつけたものが燃え広がったと考えられています。
人が原因ならば、人が止めることもできるはずです。
私たちは、これからも火を使わない農業の普及を目指し活動していきます。

リアウ州の隣のジャンビ州で出会った若い雄のオランウータン
©WWF-Japan/T.Iwabuchi

リアウ州の隣のジャンビ州で出会った若い雄のオランウータン

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自然保護室(森林)
岩渕 翼

博士(生命科学・東北大学)
カリフォルニア州立大学卒業。学位取得後、大学のポスドクや助教として生物と環境の相互作用や、生物多様性の保全や評価手法の開発、企業緑地の生物多様性配慮等に関する研究を行う。研究の傍ら、栃木県環境審議会専門委員として行政支援を行うほか、東日本大震災後には人と自然の復興を目指すグリーン復興の活動に関わる。その後、環境保全NGOに勤務し森林や湿地の保全プロジェクトを担当。WWFジャパンでは東南アジアを中心に、森林や野生生物の科学的なモニタリングから天然ゴムなどの森林コモディティの持続可能な生産の推進など、多角的な活動を展開。

小学生の頃にファーブル昆虫記を読んで感激し、その頃から将来は生き物に関わる仕事をすると心に決めていました。さらに中学生の頃に「沈黙の春」を読み衝撃を受け、環境保全を意識するようになりました。そのあと生態系の仕組みを調べる研究者になり、科学に基づいた保全を追求するために保全の現場に関わるようになりました。森林保全プロジェクトと同時に子育てプロジェクトも進行中。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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