「ふゆみずたんぼ」からのお客様


企画調整室の清野です。12月16日、宮城県で「ふゆみずたんぼ」によるお米づくりに取り組む方々が、「NPO法人田んぼ」のスタッフと共に、東京のWWF事務局を訪ねて来てくださいました。

「ふゆみずたんぼ」とは、冬の間も田に水をはったままにする農法です。近代の米作りでは、冬は田んぼから水を抜いてしまう場合がほとんど。しかし、水をはっておくほうが、泥の中の菌類やイトミミズ、ユスリカなどの小さな生物が増え、お米の生産力が高まるほか、雑草を抑える効果もあるといわれています。

WWFでは、この宮城県のふゆみずたんぼで作られたお米を、通信販売「パンダショップ」で販売しています。その名も「福幸米(ふっこうまい)」。

ご存知のとおり、宮城県は、東日本大震災で大きな被害を受けました。そこで、内陸のふゆみずたんぼで、無農薬・無施肥で作られた新米を販売し、代金のうち200円を、津波の被害を受けた沿岸の田んぼの復興に使おう、という試みが始まり、私たちのショップでも応援させていただいた、というわけです。

事務所に来てくださった生産者の方々は、「ふゆみずたんぼ」ならではの管理の大変さや、販路拡大などの課題の大変さをお話くださる一方、次のような暖かい言葉もかけてくださいました。

「今年は震災も重なり、とても厳しい状況だったが、そんな折にパンダショップでの販売が始まり、ほぼ完売と聞いて、うれしかった。私たち生産者にとって、未来への希望がつながった」

「がんばれば応援してくれる人たちがいる。よし、また来年も作ろう、という気になる。来年のために、また1本、苗を買う、という作業につながっていく」

「生産者と消費者のあいだの距離がもっと縮まって、対等な関係で、産物を通じて目的を共有していきたい」

私たち消費者が、お米を買うという形で、田んぼの生物多様性の保全と震災復興の両方に参加できるのだ、ということも実感できた、嬉しい瞬間でした。

お米の生産者と消費者を一つにつなげてくれる「福興米」づくり。これからも応援してゆきたいと思います。

  • パンダショップでは、寒風沢島と同じ「ふゆみずたんぼ」の農法で作られた『福幸米(ふっこうまい)』を販売しています。代金500円のうち200円が宮城県沿岸部の津波被害を受けた田んぼの復興に使われます。1,000袋の限定販売!ぜひお求めください。
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事務局にお出でくださった、「ふゆみずたんぼ」によるお米づくりに取り組む方々と、「NPO法人田んぼ」のスタッフの皆さん

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被災した宮城県の寒風沢島にある「ふゆみずたんぼ」。通常、水田は水管理や重機による作業のしやすさなどから、冬に水を抜きますが、「ふゆみずたんぼ」は冬も水をはったままにします。

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パンダショップの「福幸米」。
今回、パンダショップで販売しているお米の生産地である大崎市において採取した玄米の放射性セシウムはすべて不検出でした。

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企画管理室
清野 比咲子

深海生物や昆虫など人間には思いつかない生きものを知るたびに仕事への意欲をキープしています。ワシントン条約会議で世界の人々の真剣な議論を目の当たりにし、自然保護の醍醐味を味わいました。いまは、地球にダメージを与えない新たな時代の暮らし方を模索し、「環境なくして経済なし」と言い続けています。

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