ツルよ渡れ、四国の空に!


自然保護室長の東梅です。
今年の秋、四国から思いがけないニュースが届きました。

四国各地に、ナベヅルの群が飛来している! というのです。

その数は、10月以降増え続け、現時点で合計200羽以上にのぼるそうです。

日本のツルといえば、北海道で一年中見られるタンチョウが有名ですが、冬になるとナベヅル、マナヅルの2種が渡り鳥として飛来し、冬を越すことが知られています。

しかし、飛来する個体の9割は、九州の出水平野に集中しており、それ以外の地域では非常に数が少ないのが通例でした。

ナベヅル。これは出水平野で撮影したもの

九州に飛来していた群の一部が、たまたま四国にやってきたのか。それとも、全く別の新たな個体群が飛来しているのか。そうしたことは今のところ分かっていません。

それでも、ナベヅルが世界的に絶滅が危惧される鳥の一種であり、日本がその最大の越冬地であることはまぎれもない事実です。

これを受けて先日、日本野鳥の会を中心に、WWFを含めた国内の自然保護団体が名を連ね、四国四県に対し、今年飛来したツルたちの保護に、特別の配慮を依頼する提言を行ないました。

保護区の設定には、農業関係者や自治体などさまざまな関係者との十分な協議と協働が必要になりますので、緊急時である今回は、主に飛来地での猟銃の使用や、ツルへの接近を自主的に控えることをお願いする内容です。

この冬、ナベヅルたちが四国に「安心できる越冬地」を見出すことができれば、また1年後、四国の空にツルたちが姿を見せてくれる可能性は十分にあります。

そしてそのことは、現在、九州のほぼ1か所に集中しているナベヅルを分散させ、伝染病などの脅威からこの鳥を守ることにもつながるでしょう。

先のことは分かりません。
ですが来年、またその翌年にも、ツルたちが渡って来てくれることに期待をかけたいと思います。

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自然保護室長
東梅 貞義

これまでにウェットランド(湿地)や黄海の保全を担当。現在は各国WWFの保全活動のリーダーたちと連携した取り組みに力を入れています。

自然保護に取り組み30年近く。これまでのフィールドは、日本では南は石垣島のサンゴ礁から、北海道の風蓮湖まで、世界ではペンギンの生きる南米の海から、極東ロシアのトラの森、渡り鳥の楽園の黄海、そしてミャンマー・タイの東南アジア最大級の手つかずの森まで。野生生物と人の暮らしが交差する現場で、現地の人々や研究者、グローバル企業、国際機関の方々とご一緒に、自然保護と持続可能な未来を目指して日々取り組んでいます。

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