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2050年までに洋上風力発電を5倍に 大事なのは技術者の「やりたい」気持ち [JERA 後編]


台湾の洋上風力発電事業「フェルモサ」に参画する(株)JERA。もともと火力発電の会社が、台湾で洋上風力の経験とノウハウを得て、まだ再エネ未開発のアジアにおいて商機を見出そうとしています。その姿には、脱炭素社会への移行期に次代を切り開いて行こうという強い意志がにじんでおり、日本の新たな基幹産業を産み出す原動力となるに違いありません。

しかし脱炭素社会へ移行するには、実は旧産業から新産業へと人材をシフトしていくことが大きなハードルの一つ。欧州ではjust transition(公正な移行)として政府が支援するような対象です。(株)JERAはもともと火力の会社ですから、洋上風力の経験者は誰もいなかったということ。インタビューに答えてくださった水野さんももともとは中部電力において、水力発電の土木事業を手掛けておられたとのことです。

しかし火力発電と洋上風力は、中身は違っても、どちらも海外で展開する大規模な発電インフラのマネジメント。すなわち、元々(株)JERAが得意としてきた海外の大規模発電インフラのオペレーションやメンテナンスなどの経験が活かせるのだそうです。

©JERA

台湾の洋上風力発電事業「フォルモサ」

台湾のプロジェクトでは、洋上風力へ出資するだけではなく、(株)JERAから20人以上も技術者たちを派遣しています。全員風力のビジネスは初めての挑戦。しかし火力インフラの経験を活かしながら知見を増やしているそうです。「どうやって携わる人を選ぶのですか?」と聞くと、基本的には「やりたい」と手を挙げてくれる人たち。そのやる気に火をつけるには、洋上風力の現場で陸揚げされた巨大なタービンの実物などを見てもらい、壮大なスケール感を感じてもらうことだそうです。

(株)JERAは現状100万kWの洋上風力を2025年までに500万kWにするという目標を持っています。すなわち5年で5倍にするという目標!「人」が基本なのでこれから100人規模で人材育成の必要があります。洋上風力などの再エネ事業の楽しさやビジョンの大きさを、現場を見たりすることで知ってもらって、どんどん再エネのファンを増やしていきたいそうです。

私も改めて台湾の現場を見に行きたくなりました。大きく伸びる洋上風力など再エネの事業、夢とビジョンのある仕事に携わりたい人が増えていくことは間違いないですね!

それにしても着々とアジアの洋上風力のハブ港を築いていく台湾、アジアのハブが日本でなくてよいのでしょうか??日本政府には、日本企業がこれからさらに大きく伸びる洋上風力産業でも成長できるように、日本国内にハブとなるインフラを早急に整備することを求めたいです!

©WWFジャパン

取材を終えて

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WWFジャパン  専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び環境・エネルギー政策。2002年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会持続可能性委員会委員、環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書「地球温暖化は解決できるのか~パリ協定から未来へ!~」(岩波ジュニア新書2016)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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