自然の森に帰ったトラ「ウポニー」の死が教えてくれること・・・
2017/04/15
※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。
WWFロシアの事務局から大変ショッキングなお知らせが届きました。
スタッフブログなどでも度々ご報告しておりました、シベリアトラの「ウポニー」が死んだ、という知らせでした。
「ウポニー」は、2014年の冬に極東ロシアで人里に現れて捕獲され、野生復帰のリハビリを経て翌年5月に自然の森に帰ったオスのシベリアトラです。
その後も、発信器つきの首輪から送られてくるGPSの信号を基に、その行動圏や、人里にまた出没しないか、調査が続けられてきました。
その信号が突然途絶えたのです。 2月17日のことでした。
専門家たちは急いでGPS信号が途絶えた場所へ向かいましたが、かなり人里からも離れた場所で、死体を発見するまでには数週間を要しました。
死因はその外傷からヒグマか、より体の大きなトラに襲われたのではと推測されています。
WWFロシア、アムール支部のパベル・フォメンコはウポニーの死について次のようにコメントをしています。
「ウポニーは、人との衝突によって野生から離され、野生復帰のための訓練を受けた後に、再び自然に順応していくという、目まぐるしい変化のある生涯を過ごしました。
私たちは、そんなウポニーに「自由への挑戦」、そして「自然界で生き延びる」ことの象徴であってほしいと願っていました。
そんな矢先、この知らせを聞き大変残念に思っています」
自然の厳しい掟がもたらす死は決して少なくありません。
その厳しさにさらに、人の手による森林破壊や密猟を加え、すみかを奪ってしまうようなことは、絶対に無くしてゆかなければいけません。
「ウポニー」と名付けられた一頭のトラの生涯からは、そんな警告にも似た強い思いをあらためて感じました。(広報 山本)