ゼロエネルギー住宅を選ぶ人は「○○」を求めている!


温暖化担当の小西です。
3月に雑誌「地球温暖化」の取材で、販売する新築住宅の7割を「ゼロエネルギー住宅」が占めるという住宅メーカー、積水ハウスを訪問してきました。

お会いくださった方は、常務執行役員で温暖化防止研究所長でもいらっしゃる石田建一さん。

インタビューの模様は、ぜひ雑誌の連載をご覧いただくとして、とにかく面白かったのは、石田さんの家の断熱性の説明です。

私たちは2050年に再生可能エネルギー100%の社会を実現する「エネルギーシナリオ」を発表していますが、そのポイントは、まず省エネを進めること。

特に、家庭の省エネで最も大事なことは、家の断熱性を高めることです。

カギになるのは熱が逃げやすい「窓」。

日本の一般的な住宅では、二重窓にするなどの工夫が、省エネ家電を入れるよりも効果が高かったりします。

パリ協定が発効して加速する温暖化対策、家庭やビルなどの業務部門も一層の温暖化対策が求められています。

ところが、この住宅の温暖化対策について聞く私に、石田さんはこんなお話しをしてくださったのです。

「人は省エネのために家は買わないですよ。

でも健康や快適さのためならば心動かされます。断熱性の高い家は、健康に暮らせる家なんです。

特に高齢化社会の日本では、お風呂や脱衣所が寒いことなどの温度差からくる死亡事故が交通事故の死亡者より多い。温暖化対策や光熱費の削減で訴えるよりも、健康で快適な生活ができますよ、と言うほうが人が動くのです」

うーん、なるほど!

省エネや温暖化防止の高い意識を持っていても、それを直接伝えるのではなく、お客様の心に響く言葉で訴える、まさに目からウロコのメッセージでした。

同社は、トップが率先して環境配慮の旗振りをしているので、このような方針が貫けるとのこと。

しかも一社だけでなく、オールジャパンで進めるべき、というのがその意向だそうです!

日本にも持続可能な未来づくりを事業の根幹とする企業が増えてきたなあと実感した一日でした!

WWFジャパンの小西雅子と積水ハウス(株) 常務執行役員 環境推進部長 兼 温暖化防止研究所長 石田 建一氏

雑誌『地球温暖化』

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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