被災地「松川浦」の渡り鳥


自然保護室の前川です。
「松川浦」という場所をご存知でしょうか? 松川浦は、数多くの動植物が生育することで知られた、「日本の重要湿地500」にも選ばれている海辺の一つ。
先の東日本大震災の津波で大きな打撃を受けた福島県相馬市にあります。

私たちは先日、地元の団体に義援金や支援物資を届けるために相馬市を訪問し、あわせて自然環境の状況も確認してきました。

松川浦にはもともと、長い年月をかけてできた細長い砂浜により海と隔てられた跡湖(せきこ)があり、内側には広大な干潟が広がっています。

しかし、今のその姿は、津波によって植生が壊滅的な被害を受けただけでなく、流れ込んだ土砂や地盤沈下によって環境は大きく変化してしまいました。元の美しく、たくさんの生きもので賑わう自然が戻るためには、長い年月が必要だと思われます。

しかし一方で、野鳥の姿も観察することができました。
たとえば、キアシシギの群れです。この鳥は、東南アジアからオーストラリアで越冬する渡り鳥。ロシアで繁殖をするために、さらに北へと旅を続ける途中、休息のために松川浦に立ち寄ったのでしょう。

また、わずかですが、足許には、こうした鳥たちの食物となる、小さなカニや魚などの姿も目にすることができました。少しずつですが、生きものが戻りつつあるようです。

こうした海辺の「生物多様性」は、これからの漁業や暮らしの復興を支える、基盤ともなるものです。
猛威だけでなく、すばらしいたくましさを見せてくれた相馬の海。
その力を信じて、私たちも漁業や自然の回復をめざす活動に、これから取り組んでいきたいと思います。

 

 

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津波被災後の松川浦

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キアシシギ

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浮かんだ流木では群が翼を休めていました(一列に並んでいます。分かるかな?)。そして上空にはハヤブサの姿も!(写真右上)

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WWFジャパン海洋水産グループ グループ長
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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