海の暮らしと渡り鳥たちの自然


水産担当の山内です。
先日、中国の大連で開催された「WWF生態系ベース管理型モデルプロジェクト『中国遼寧省・鴨緑江河口域沿岸における生態調査』結果報告・」に参加してきました。

黄海に面した鴨緑江河口での現地視察は大雨でしたが、岸から沖合数キロにまで広がる、今まで見たこともないような、広大な干潟を堪能することができました。

この海の保全をめざす「黄海エコリージョン保全プログラム」は、2002年からWWFが取り組んできた日中韓を跨ぐ一大プロジェクト。

沿岸にある重要地域の一つである鴨緑江の干潟を保全するにあたり、アサリやハマグリを獲る漁業者の方々と、どうしたら協力関係を築けるのかが、水産担当としての私のテーマです。

たとえば鴨緑江の干潟は、シギやチドリなどの渡り鳥にとって大事な大事な中継地。ですが、漁業者から見ればこの鳥たちは、大事に育てて収穫するためのアサリの稚貝(種)を、蒔いたそばから食べてしまう困った存在です。

また、地域では漁業者が減ってきたため機械化が進みつつあり、これまで手掘り中心だった環境負荷の小さなアサリ漁業も転換期を迎えています。

そして何より、日本はこの鴨緑江産アサリの一大輸入国。お世話になっているこの海の保全と、持続可能な漁業の後押しをすることは、大変意味のあることなのです。

今回の意見交換会には、アサリを扱う日本企業の代表者にもご参加いただき、地元の漁業者、研究者、WWF、流通関係者がそろって、活発な意見交換をしました。

立場は違えど、鴨緑江のアサリ漁業を良くしたい、干潟の自然と豊かな漁場を守り続けたい、という共通の思いのもと、大変有意義な3日間となりました。

この取組みはようやくスタートを切ったところですが、現地では資源や渡り鳥の状況がよく調査されており、協働体制も実効的です。数年後には日本の皆さまにも鴨緑江のMSCアサリをお届けできるよう、頑張りたいと思います。

 

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雨の鴨緑江の干潟。アサリの漁船が出ています。 渡り鳥たちはここで長旅を一休みし、この干潟でお腹を一杯にして次のフライトで使うエネルギーを補充します(なんと滞在中に鳥の体重は2倍にもなるんだとか!?)

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意見交換会の現地視察

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意見交換会の様子

自然保護室 海洋水産グループ長
山内 愛子

小さい頃から水族館が大好きでした。ご縁があって、水産学を学び、海の専門家として生きることに。これまで出会った海と暮らす人たちへの恩返しと、魚を食べるのが大好きな世界中の人々のために、7つの海を回遊しています。

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