ボルネオで「森の人」オランウータンの親子と遭遇


自然保護室の小林です。
先日、東南アジア赤道直下のボルネオ島サバ州に行ってまいりました。

今、私たちは、サバ州の北東に位置する北ウルセガマという場所の森でオランウータンを守るための活動をしています。

オランウータンの生息密度が高いことで知られるこの森は、実は違法伐採やアブラヤシ農園開墾のために劣化・縮小してしまい、オランウータンの個体数がわずか数年で劇的に減ってしまったのです。

この森をもう一度オランウータンにとって良い森にしようと、WWFだけでなく、サバ州政府や地元の財団が協力し合って、植林を中心とした森林再生活動を行なっています。

具体的にどんな活動をしているの?というお話は別の機会に譲ることにして、今回はうれしいニュースをお伝えしようと思います。

なんと今回の現場訪問の際に、植林活動を行なった場所でオランウータンの母子と出会うことが出来ました!

森林再生活動と並行してオランウータンの調査も行なわれているのですが、調査チームのメンバーによると、今まで観察されたことのない個体とのこと!

少しずつ、ですが、オランウータンたちが暮らしやすい森に近づいているのかな、とうれしくなりました。

それにしても、オランウータンが悠々と木の上を移動していく様子は、何度見ても感動する光景です。

オランウータンというのは、マレー語で森の人(Orang=人、Hutan=森)を意味します。

森の人と私たち人間がともに生きていける。そんな未来を築いていくために、活動を続けていきたいと思っております。

 

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自然保護室(淡水)
小林 俊介

修士(動物学・京都大学)
京都大学在学時にボルネオ島での野生動物の行動学を専攻。ボルネオの豊かな生物層の魅力を知るとともに農園開発などの環境課題の大きさを実感する。2013年にWWFに入局。ボルネオ島での絶滅危惧種保全、持続可能な森林・農園管理、ESDなどの活動を担当。2018年よりサンゴ礁保護研究センター長。サンゴ礁保護研究センターの地元移譲を経て2021年から現在まで淡水グループ繊維担当と、海洋グループ白保担当を兼務。

子供のころからの動物好きが高じて、東南アジアでの野生動物の研究に携わった後、WWFへ。森林、海洋、淡水と様々な分野を担当し、持続可能な資源管理を中心に海外・国内のフィールドにも携わってまいりました。フィールドで豊かな自然とそれを守るために頑張っている仲間たちと交流するのが何よりの楽しみです。

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