中学生たちが挑戦する、温暖化防止ための国際交渉


温暖化担当の小西です。
先日、新潟県上越市にある上越教育大付属中学校に講演に行ってきました。

この学校に通う130人の学生の皆さん、実は今年の夏休みに、私が以前書いた『地球温暖化の最前線』(岩波書店)という本を読んでくれていました。

その皆さんが真剣に事前学習し、温暖化の国際交渉の模擬授業までやる!と聞き、何とか時間を作って学校へ行ってきました。

いやー感動しました! 温暖化の科学から国際交渉、経済的手法まで!皆さん本当によく把握しているのです。見せて抱いた夏休みの宿題レポートも、それこそ京都議定書の経済的手法まできっちり調べぬいてありました。

私の講演は時間を延長してしまって2時間半! 質疑応答はもちろん、あまりにもレベルが高かったので、班分ごとに分けてクイズ形式で課題を考えてもらい、非常に盛り上がりました!

また2日後には、全国から集まる中学校の先生たちの前で、モデル授業として、温暖化の国際交渉の模擬交渉も繰り広げるとのこと。

中学生の皆さんが用意した説明用のポスターを見せてもらうと、アメリカ、欧州、日本、中国、インド、小島嶼国など国別の交渉シートになっており、それぞれの国の事情と交渉ポジションが、ちゃんと調べられ記されています。

さらに、IEA(国際エネルギー機関)のデータを基に、自分たちでエクセルを使って、石炭・石油などエネルギー種別のデータまで作りこんで書いてあるのです!これほどにレベルの高い調査ができるのか!と正直舌を巻きました。

これだけの準備で臨む国際交渉、それぞれのチームが、途上国や先進国の立場となって考えていくのは、非常によい国際センスを身につける機会となるでしょう。

こんな皆さんが、これからの日本を背負っていくことを思うと、感激もひとしおでした。また、こんな授業を展開する先生もすごいですね! ぜひモデル授業として、全国に広がってくれることを願っています。
上越教育大付属中学校の皆さん、ありがとうございました!

 

 

中学生の皆さんが作った発表用のポスター。う~ん、すばらしい!確実に私の中学生時代よりも優れています!

最後の記念写真。終わった後はお礼にと合唱を贈ってくれました!

 

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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