生物多様性条約会議に行ってきました


平昌は次期冬季オリンピックの開催地。
本会議場の巨大テント内も、気温は氷点下近くに!
参加者には毛布が配られましたが、
あまりの寒さにパジャマの上にスーツを着込む人も。

自然保護室の安村です。
10月6日から17日にかけて、韓国の平昌(ピョンチャン)で開かれていた、生物多様性条約の第12回締約国会議(CBD-CoP12)に行ってきました。

今回の会議には、およそ3000名が参加。

各国の代表団、関連機関による本会議と並行し、世界の生物多様性の保全や利用にかかわるさまざまな取り組みが、NGO、先住民、研究者などにより、サイドイベントやブース展示という形で発表、紹介されました。

今回は私も、自分が担当している「黄海エコリージョン支援プロジェクト」のサイドイベントとブース展示を行ないました。

黄海サイドイベント。多くの渡り鳥の保全関係者、
研究者の他、各国のWWFスタッフも参加してくれました。

この取り組みは、東アジアを代表する大陸棚の海、黄海の環境を保全するために、パナソニック株式会社の支援を受け、2007年からスタートした活動で、日本、韓国、中国の研究者やWWFなどのNGO、企業、行政機関を含む、地域の関係者らが協力して行なってきたものです。

広大な海域の中から生物多様性の豊かな重要な海域を選び、それらを保全するための持続可能なモデル地域をつくることが、取り組みの柱です。

7年間のプロジェクトをまとめた報告書を出版。配布に併せて
作成した、黄海の生物の特製ピンバッジは大人気でした。

サイドイベントでは、科学的知見に基づき、また地元の参加を促しながら進めてきた一連の取り組みの成果と課題を発表。

出席者は70名を超え、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

今回のCBD-CoP12では、最終的に33の決定が採択されました。

また、2011年から2020年までの生物多様性の保全戦略として、2010年に採択された「愛知目標」についても、その進捗の中間評価がなされました。

WWF韓国(今年3月に設立)と共同設置したブース。
会議参加者だけでなく、一般の方も来場くださいました。

複数の国にまたがる広大な海のような自然を、どのように足もとから守ってゆくのか。

国際的な目標達成に貢献する試みの一つの事例として、プロジェクトで得た成果を発信しながら、現場の取り組みを進めてゆきたいと思います。

 

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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