マグロについて:消費者はどうしたらいいの?


20年、30年後も、おいしいマグロを食べることのできる世界を作ることは、現代に生きる私たちの責任。さまざまな問題や情報に目を向け、環境にも配慮した海産物をお店や漁業者などに求めてゆくことは、消費者にできる、重要な取り組みの一つです。

海の恵みをいつまでも ~持続的な海洋資源の利用にむけて

マグロはもちろんのこと、環境に配慮して生産された海産物を、一般の消費者が選び、利用する社会的な仕組みは、現在の日本ではまだ整えられていません。どのような魚が、どのような形で獲られ、また輸入されているかについて、十分に消費者に対して情報が提供されていないのが現状です。

しかし、生態系のつながりやサイクルを無視して、自然が持つ生産力を上回る早さで、資源を利用し続ければ、それはいずれ枯渇してしまいます。これは、マグロのみならず、私たちが頼っている、海の豊かさの未来を問う、大きな問題といえるでしょう。

WWFは、多くの研究機関や国際機関の調査データや、独自に行なった調査結果を基に、海の環境に配慮した漁業を行なうよう各国に対して求めているほか、消費者に対する情報の公開を目指しています。
さまざまな問題や情報に目を向け、環境にも配慮した海産物をお店や漁業者などの供給者側に求めてゆくことは、消費者にもできる、重要な取り組みの一つです。

MSCの認証製品

WWFがその設立に関わったMSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)の水産物認証制度は、資源・生態系・規制を守った漁業を認証し、そこから供給された水産物にMSCのロゴ(右)をつけることによって、消費者に選択してもらうための制度です。

消費者がMSCのロゴマークの付いた水産物を買うことで、適切な漁業管理を行なっている漁業者を支援し、ひいては世界の海洋環境の保全に貢献することになります。

MSCの認証を取得したマグロ漁業の事例は、今のところ、アメリカの北太平洋のビンナガ漁が一例あるのみです。それでも、資源・生態系・規制を守ったマグロを食べたいという消費者の声が高まれば、漁業者の意識と行動を変えることに結びつくでしょう。そうすれば、近い将来MSCのロゴが付いたマグロの刺身を日本のお店で買えるようになるかもしれません。

MSCI0263

消費者の「声」が力になります!

MSCのロゴが付いたマグロがまだ流通していない現在、資源が豊富な種類のマグロを選んで食べるのも一つの方法です。各種のマグロの資源量についての情報を、ぜひお買い物の際に参考にしてください。

また、お店にならんだマグロは混獲を回避して獲ったマグロかどうか聞いてみましょう。MSCのラベルがついた商品のリクエストをしたり、お店のアンケートなどに書いてみてもよいかもしれません。

なかなか、はっきりとしたお返事はもらえないかもしれませんが、それでも、供給者側に対して、疑問を提起することは、消費者の意識や関心がどこにあるかを示す、とても有効な方法になります。

20年、30年後も、おいしいマグロを食べることのできる世界を作ることは、現代に生きる私たちの責任です。マグロをまず手始めとして、海の自然のこと、世界の漁業資源のことを、もっと知ってみてください。そして、考えてみましょう。私たちに、何ができるのかを。

まず知ることから始めよう!

マグロの漁獲方法

北半球と南半球、それぞれ高緯度から赤道周辺まで、広大な海域を回遊するマグロは、各海域の漁場で漁獲され、運ばれています。現在、マグロを獲る主な方法としては、3つの漁法が使われています。

マグロの運搬:生マグロと冷凍マグロ

さまざまな方法で漁獲されたマグロは、船や飛行機で運ばれ、港や市場を通じて私たちの食卓にやってきます。世界のマグロ生産量の約20%を輸入している日本では、日本の漁場だけでなく、海外で水揚げされたマグロも、生鮮漁として、また冷凍品や缶詰などの加工品などの形で消費しています。

どこのマグロが減っている?

資源が減っているのに、安価なトロが今もあふれている日本。一般の消費者が資源の状況を実感するのは、とても難しい状況ですが、安くて大量のマグロが並ぶ背景には、実はさまざまな問題があります。中にはその資源量が懸念されるマグロも出てきました。原因はやはり「獲り過ぎ」です。

消費者の豆知識:ラベルで読み解くマグロ情報

生で、また凍った状態で日本に持ち込まれ、売られているマグロ。私たちがで手にいれる、切り身になったそのマグロが、どこで、どのような方法で漁獲され、運ばれてきたのかは、なかなか分かりません。しかし、スーパーなどでマグロを買う時、パックに貼られた価格や重さを示すラベルには、少しだけそれを読み解くヒントが隠されています。

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP