よみがえれ松川浦 復興に向けエコツアー開催へ


東日本大震災で被災した福島県相馬市の松川浦。東北で屈指の生物多様性の豊かさを誇るこの場所で今、さまざまな生きものたちの姿がよみがえり始めています。2013年8月7~8日には、震災後初のエコツアーも開催予定。暮らしの復興と生物多様性の保全を両立する取り組みの今後が注目されます。

松川浦の現状

福島県相馬市にある潟湖、松川浦。日本百景に数えられ、小松島と称えられた松川浦は、尾瀬にも匹敵すると言われ、東北の沿岸域で随一の生物多様性の高さを誇る場所です。

湖内で採れるアオノリをはじめ、沖合の豊富な魚介類の漁場としても知られ、毎年多くの観光客が訪れていました。

しかし、2011年3月の東日本大震災では、津波による甚大な被害を受け、地形や景観、生態系も大きな影響を受けることになりました。

WWFジャパンは震災後、この松川浦を「暮らしと自然の復興プロジェクト」のモデル地域として選定し、自然環境、海洋汚染、漁業経済など各種調査を行なうとともに、地域の漁業関係者の方々とも話し合いを重ねてきました。

これらの活動成果については、2012年に現地でWWFが開催した報告会で発表。さらには2013年3月に行なわれた、環境省復興エコツーリズム推進モデル事業の検討会でも地元関係者に内容を紹介し、松川浦の震災後の状況と課題、さらには復興に向けた提案を行ないました。

今も続く厳しい状況

震災以前は豊かな漁場として知られていた松川浦とその沖合ですが、今もなお続く放射性物質による海洋汚染のために、厳しい状況が続いています。

松川浦ではアオノリの試験栽培が行なわれているものの出荷は自粛。相馬沖では試験操業を続け、2012年6月から安全が確認されたミズダコなど一部の魚介類の出荷が始まりましたが、残念ながら、本格操業にはほど遠いのが現状です。

いっぽう、松川浦に生息する底生動物、鳥類、海草などは、おおむね回復傾向にあることが、WWFジャパンの調査から明らかになっています。震災によって変化しながらも、確実な生物多様性の回復をみている現地の湿地環境をどのように維持し、また産業や暮らしの復興と生物多様性の保全をいかに両立し、相乗効果を高めていくかは、これからの大きな課題となっています。

環境省は三陸復興国立公園事業の一環として、みちのく潮風トレイル(遊歩道)やエコツーリズム推進事業も展開しており、相馬・松川浦は南側の基点として重要なポジションにあります。

また震災後の環境省の再評価でも、ラムサール条約湿地潜在候補地の資質は失われていないとされており、生物多様性を損なわずに、地域の産業も活性化していくことが求められています。2013年8月7~8日には、震災後初のエコツアーも開催予定です。

WWFジャパンは、環境省とも連携をとりつつ、調査や地元関係者との協働作業を通じて、地域の人々が松川浦の自然の価値を知り、守り伝えていく仕組み作りを応援したいと考えています。

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