海のめぐみを味わい続けるために、「サステナブル・シーフード・ウィーク2017」を開催


2017年10月17日(火) から28日(土)まで、「サステナブル・シーフード・ウィーク2017」を実施しました。世界の各地で海の豊かさが失われ、多くの水産資源が減少している現状を伝えながら、持続可能な水産資源(サステナブル・シーフード)の利用を呼びかけるキャンペーンです。東京でのイベントには、吉本興業株式会社のタレントである田中直樹さんと、家事えもんこと松橋周太呂さんも参加。サステナブル・シーフードの証であるMSCとASCをテーマにした、楽しいトークと料理実演によって、普及の力になってくださいました。

サステナブル・シーフードを広げる

海洋生物の乱獲や違法な漁業、サンゴ礁や干潟、マングローブなどの沿岸域の自然破壊、ウミガメや水鳥などの野生生物を誤って漁網にかけて死なせてしまう混獲、そして過密養殖が海洋汚染につながる養殖業。

世界各地から、海の環境が危機に瀕しているという声が聞こえます。

WWFの「生きている地球指数」が示す海に生きる生物の豊かさは、1970年からの40年間で、4割近くも低下。

特に、魚や貝、エビなどの天然魚介類の獲りすぎは深刻な問題で、およそ3割が、獲りすぎの状態にあるとされています。

このままでは、今あたりまえに食べている魚や貝が、子どもたちが大人になるころには、食べられなくなる心配も出てきています。

その状況を変えようと、自然環境や社会に配慮して生産された「サステナブル・シーフード(持続可能な水産物)」の利用が提唱され、世界で広がり始めています。

サステナブル・シーフード・ウィーク2017ポスター

日本でも、第三者が認証したサステナブル・シーフードの証である「MSC」と「ASC」のラベルつきシーフードを、積極的に生産し、流通・販売する漁業者や企業が増加しつつあります。

スーパーマーケットなどでも、そうした製品が並ぶようになってきました。

この認証製品は、消費者が選び、購入することで、世界の海の自然と、持続可能な漁業を応援できる仕組みです。

しかし、日本ではその認知がまだ低く、海の環境と未来に対する危機感は、消費者に十分認識されていません。

そこで、2014年からサステナブル・シーフードを扱う国内の企業や団体と共に、その利用を呼びかける「サステナブル・シーフード・ウィーク」を毎年、開催しています。

MSC「海のエコラベル」、ASCマーク

今年は、WWFジャパンとMSC(海洋管理協議会)日本事務所、ASC(水産養殖管理協議会)ジャパンが主催し、吉本興業株式会社の協力を得て、イベントを実施しました。

吉本興業は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を積極的に推進しており、サステナブル・シーフード・ウィーク2017の取組みが SDGs の 17 の目標のうちの 14 番目「海の豊かさを守ろう」に沿うものということで、特別にご協力をいただきました。

「サステナブル・シーフード・ウィーク2017スペシャルイベント」の開催

2017年は、初日の10月17日に、吉本興業株式会社のタレントである田中直樹さんと家事えもんこと松橋周太呂さんが参加するスペシャルイベントを実施しました。

東京の「ABC丸の内グラウンド」には、主婦など30名の女性のみなさんが、一般参加者として、トークセッションなどを通じて「サステナブル・シーフード」の意味などを理解しました。

WWFジャパンの水産担当山内愛子は世界の水産の今をわかりやすく解説しました。1960年代から世界の魚の消費量はおよそ2倍に増えていることを話し、今後も世界人口が増大すると予想されていることから、持続可能な漁業と責任ある養殖業に転換していく必要性を強調。

MSCは天然魚の過剰漁獲を避けるとともに、混獲などが海の環境に与える負荷を小さくするように努めていること、ASCは、養殖場周辺の環境に配慮し、海洋汚染を抑えるようにえさや薬品の使用について制限を設けていることなど、どのような点で、優れた仕組みであるのかを説明しました。

MSCは世界で317の漁業が認証を取得し、ASCについては、520カ所の養殖場が認証を取得しています(2017年10月現在)。
ただし、日本の消費者によるMSCの認知度は、15%程度と世界の消費者の37%とくらべて、低い水準にあり、さらなる普及の努力が必要になっています。

これを聞いていた吉本興業の田中直樹さんと松橋周太呂さんは、トークセッションで、MSCとASCのマークを見かけたことはあったが、その意味については、今回のイベントで初めて知ったと話されました。

左から、水産養殖管理協議会 ASC ジャパンジェネラルマネージャー山本光治、松橋周太呂さん、田中直樹さん、 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン自然保護室海洋水産グループ長 山内愛子、海洋管理協議会日本事務所プログラムディレクター石井幸造

吉本興業所属の田中直樹さんと松橋周太呂さんの言葉

田中直樹さんは、「今まで意識して見ていなかったので、これをきっかけに勉強させていただきます。海って、プランクトンや僕の好きなサメも含めて絶妙なバランスを保って成り立っているんですよね」と海洋生物ファンであることから、大いに興味を持った様子。

松橋周太呂さんの「"サステナブル"って言葉がかっこいいですよね。『サステナブってるね~』という感じで流行ると思いますよ」という発言には、会場から大きな笑いが起きて、盛り上がりました。

続いて、調理デモへ。
松橋さんは、料理の腕前を発揮し、「ASC認証アトランティックサーモン(イオンリテール提供)・MSC認証ホタテガイ(ニッスイ、マルハニチロ提供)・MSC認証 カニカマ(スケソウダラ)(極洋提供)のレモン山椒マリネ」と「ASC 銀鮭と MSC ホタテガイ(ニッスイ、マルハニチロ提供)のバターソテー浅漬けタルタル添え」をこしらえました。

田中さんは試食すると、「マリネ、すごくおいしい! 味付けも抜群で爽やかだし、食べ応えもありますね。タルタルソースは、今まで食べてきたものとは違うけど、これは良いアレンジだと思いますよ。サステナブル・シーフードともすごくあってますね」と絶賛。

最後に、田中さんから「スーパーなどでサステナブル・シーフードを選ぶことで、世界の海を守ることにつながっていくと思うので、一人でも多くの人に広めていきたいですね」との言葉が出ました。

松橋さんからも「料理する側としても、サステナブル・シーフードをどんどん発信していきたいです」とのコメントがありました。

テレビを始め、たくさんのメディアも詰めかけて、盛況のうちにイベントは終了しました。

吉本興業の田中直樹さんと松橋周太呂さん

「ASC認証アトランティックサーモン・MSC認証ホタテガイ・MSC認証 カニカマ(スケソウダラ)のレモン山椒マリネ」と「ASC 銀鮭と MSC ホタテガイのバターソテー浅漬けタルタル添え」

<サテライトイベントを2カ所で実施>

大阪のサテライトイベント「海のこと、お魚のこと親子で学ぼう! ~海の幸の休日ランチ♪~」

10月22日(日)、大阪ガスハグミュージアムにて、サテライトイベントが開催され、午前・午後、合わせて、31名の親子が、MSC、ASC認証を学ぶとともに、認証ラベルのついた水産物を使った料理を楽しみました。

今回作ったのは、MSC認証スモークサーモン(三洋食品提供)を利用した「マフィンサンド2種~サーモン&アボガド・タマゴ~」とMSC認証塩紅鮭(実行委員会が調達)を使ったマヨネーズ焼き、ASC認証エビフライ(イオンリテール提供)の3種類のメニューです。

参加者からは、「MSC、ASCという認証制度について知ることのできるこのような機会があってよかったです」、「海の資源のことを考えながら食べていかないといけないですよね」という声が聞かれました。

岡山サテライトイベント「楽しく学んでおいしく食べよう エコ・クッキング♪」

10月28日(土)、岡山市南ふれあいセンターにて、サステナブル・シーフード・ウィーク2017最後のイベントが開催され、18名の皆さんの参加を得て、料理教室が開催されました。

おいしい料理を食べながらMSCやASC認証のことを理解するとともに、消費者が水産物を「選ぶこと」の意義や食と生産現場のつながりについて考えていただく機会を、参加者のみなさんにご提供しました。

MSCオフィシャルライターの浅野陽子さんにクッキング講師としてメニュー開発を依頼。今回、「サステナブル海鮮ちらし」、「サーモンのバター焼きタルタルソース」、「岡山パイ」の3品を作りました。

「サステナブル海鮮ちらし」は、MSC認証塩鮭、MSC認証明太子(日本生活協同組会連合会提供)、ASC認証刺身用サーモン(イオンリテール提供)、ASC認証ブラックタイガー(ニチレイフレッシュ提供)を盛り込んだ豪華なちらし寿司です。

2品目は「ASC認証サーモン(ギンザケ)のバター焼き タルタルソース」(アグロスーパー提供)。3品目は、デザートメニューとして岡山のフルーツをたくさん使った「岡山パイ」。

水産物以外にも認証製品を使用

今回のイベントは、メインメニューにサステナブル・シーフードを利用しただけでなく、デザートのパイにも認証製品を利用。

ショートニングの原材料となるパーム油は、主に食品の原材料に「植物油」と表記される油のひとつで、スーパーに並ぶ製品の約半分にこれが含まれると言われています。

インドネシアなどでは、パーム油が採れるアブラヤシの農園の開発のために森林が大規模に伐採されて熱帯林が激減し、問題になっています。

今回のパイには、熱帯林の環境と、地域住民や働く人に配慮して生産されたパーム油を含む製品に与えられるRSPO認証のショートニング(ダーボン・オーガニック・ジャパン提供)を使いました。

パーム油は、洗剤の原材料としても使用されます。今回使用した食器用洗剤(サラヤ株式会社提供)もRSPO認証製品です。

また、試食する際に用いたお箸やナプキン。これらは、森林生態系の保全や周辺に暮らす人々への影響や権利、生産現場の労働環境などに配慮して生産された木材製品や紙製品に与えられるFSC認証を受けたものをご提供しました。

こうして、参加者の皆さんに、暮らしの中でできることとして、森や海を守りながら生産されたエコラベルのついた商品を選ぶことの意義を、深くご理解いただけたようです。

クッキング講師 浅野陽子さん

サステナブル海鮮ちらし

RSPO認証のショートニングを使った 岡山パイ

当日参加者に配られたレシピブック

食と生産現場のつながりを理解

大阪と岡山では、WWFが行なっているプロジェクトを通じて生産が改善され、認証を取得した水産物をクッキングイベントで使用。調理・試食をしながらプロジェクトについてご説明しました。

今料理している、そして食べている水産物が、どこから来たのか、どのように生産されたものかに、より興味をもってもらうことができたと考えています。調理にとどまらず、食と生産現場との「つながり」、食を通じた自然環境や野生生物の保全への理解を促進させる機会ともなりました。

<協賛企業との共催イベントや特別展示>

三菱商事「MC FOREST」トークイベント

三菱商事のイベントスペース「MC FOREST」にて、10月20日(金)から27日(金)まで、サステナブル・シーフードについて、一般来場者向け展示を行ないました。

10月24日(火)には、MC FORESTにて、三菱商事共催によるトークイベント「サステナブル・シーフードを選ぶことで海を守る」を開催。

27名の出席者を前に、東北大学大学院の香坂玲教授とWWFジャパン海洋水産グループの山内愛子がトークを行ないました。

海洋環境に危機が迫っていることや、消費者一人ひとりがサステナブル・シーフードを選ぶことで危機の克服に貢献できること、サステナブル・シーフードは地域活性化だけでなく、生物多様性の保全にも役立つことなどが話題に上りました。

さらに、シーフード以外のエコラベルの豊富な事例も交えて語られると、参加者の皆さんは真剣にトークに聞き入っていました

東北大学大学院 香坂玲教授(左)、WWFジャパン 山内愛子(右)

IKEA新三郷 サステナブル・シーフード 試食イベント

10月21日(土)には、IKEA新三郷1階スウェーデンフードマーケットにて、MSC認証のランプフィッシュキャビアとASC認証サーモンマリネの試食会が実施され、多くの方々に、サステナブルでおいしいシーフードをご試食いただきました。

このイベントでは、店舗スタッフの皆さんの間でも、サステナブルなシーフードの価値をお客様にお伝えしようとするモチベーションが高まったようです。

IKEA新三郷スウェーデンフードマーケット責任者の仲沢ちえ氏は以下のようにコメントしています。

「サステナブルなシーフードを販売するための社内勉強会等を通じ、イケアジャパンの従業員はMSC認証やASC認証について、基本的な理解があります」

「今回WWFジャパンやMSC日本事務所、ASCジャパンと共催イベントを開催したことで、スタッフが環境や社会に配慮したサステナブルなシーフードの価値を改めて実感し、それをしっかりとお客様に伝えていくためのいいきっかけとなりました。他の店舗でもぜひこのような取組ができればいいですね」 

IKEA新三郷 仲沢ちえ氏

イトーヨーカ堂でASC認証カキの特別展示会

イトーヨーカ堂の首都圏の4店舗(鶴見店、八千代店、アリオ西新井店、東大和店)では、サステナブル・シーフード・ウィーク2017開催期間中、「南三陸 戸倉っこかき」を選べば、海の環境保全や地域社会の発展につながるということをお客様にお伝えするための特別展示会が実施されました。

このカキは、東日本大震災を乗り越え、2016年に日本初のASC認証を取得した、宮城県漁協戸倉出張所が養殖生産したものです。

イトーヨーカ堂鮮魚部マーチャンダイザーの安田孝介氏より、以下のコメントをいただきました。

「サステナブル・シーフード・ウィーク2017に合わせ、当社のチラシでも"南三陸 戸倉っこかき"をメインで掲載させて頂きました。

私自身1週前に現地に足を運び、自分の目で産地を確認。生産者やメーカーさんから直接お話を聞くことで、このカキを自信を持って各店舗にお勧めすることができました」

生産現場の取り組みを伝える小売業

安田氏はさらに次のように述べます。

「将来を見すえた震災復興の一環として、持続可能なレベルにまで養殖いかだの数を減らすなどしてASC認証取得を目指すというのは、産地・生産者の方々にとって相当な決断であったかと思います。

こうした取り組みにより実現した高品質な"南三陸 戸倉っこかき"を、生産者と一緒になってお客様にお届けできたことで、通常以上の売り上げ実績もあがりました。

今後も"南三陸 戸倉っこかき"の品質と、生産者の持続可能な取り組みを、お客様にしっかりとお伝えしていきたいと思います」

イトーヨーカ堂 安田孝介氏

イトーヨーカ堂 東大和店での展示

イトーヨーカ堂 大井町店での展示

協賛・賛同企業に期待すること

上記3社との共催イベントや特別展示のほかにも、イオンが店頭で特別展示を行ないました。

このように、協賛企業との様々な取り組みによって、普段から最前線で消費者や生活者に水産物や環境・社会課題に関する情報を提供している企業の現場で、サステナブルなシーフードの価値を直接伝える機会を持つことができました。

また、多くの協賛企業よりスペシャルイベントやサテライトイベントのレシピとして認証食材をご提供いただきました。

これらのイベント共催や特別展示、認証食材の提供を通じたサステナブル・シーフード・ウィーク2017への積極的な参加によって、協賛企業の従業員の皆さまにもサステナブルなシーフードについて改めて考えていただくことができました。今後、さらにサステナブル・シーフードを広げていくきっかけ作りができたと考えています。

なお、上記協賛企業に加え、賛同という形での参加を含め、水産業に関係する46の企業や生産者が参加し、ウェブサイト等でサステナブル・シーフードの告知を行なってくださいました。このように、企業のサステナブルなシーフードへの関心は、着実に高まりつつあります。

今後は、水産物のサプライチェーンを構成する多くの関係者の皆さんがサステナブル・シーフードを日本でさらに浸透させていくために、連携協力して体制を整備していくことが期待されています。

サステナブル・シーフード・ウィーク 2017 概要

実施主体

サステナブル・シーフード・ウィーク2017実行委員会(MSC日本事務所、ASCジャパン、WWFジャパン)

イベントスケジュール

メインイベント 「サステナブル・シーフード・ウィーク2017 スペシャルイベント」 

日時 2017年10月17日(火) 12:00~13:00 受付開始 11:00~
場所 ABC丸の内グラウンド(ABCクッキングスタジオ本社内)
東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビルヂングB2F
概要 吉本興業の協力により所属の芸人ココリコの田中直樹さん、家事えもんとして知られる松橋周太呂さんを招聘。サステナブル・シーフードについてトークセッションを通じてわかりやすく伝え、また、サステナブル・シーフードを活用したデモクッキングや試食を実施。

サテライトイベント

・大阪会場「海のこと、お魚のこと親子で学ぼう!~海の幸の休日ランチ♪~」

日時 2017年10月22日(日)10:30~13:30、14:00~16:30
場所 大阪ガス ハグミュージアム
概要 サステナブル・シーフードを利用した料理教室

・岡山会場「楽しく学んでおいしく食べよう エコ・クッキング」 

日時 2017年10月28日(土) 10:30~13:30
場所

岡山市南ふれあいセンター

概要 サステナブル・シーフードを利用した料理教室
※このほか、期間中には協賛各社によるサイドイベントも実施

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