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地球温暖化が進むとどうなる?その影響は?

この記事のポイント
地球温暖化は、気温を上昇させるだけでなく地球全体の気候を大きく変える「気候変動」を引き起こします。既に世界各地では、自然環境や人の暮らしに、そのさまざまな影響や被害が現れ始めており、その深刻さから近年は「気候危機」という言葉も使われるようになりました。こうした問題は、温暖化への対策を十分に行なわない場合、さらに重大化し、取り返しのつかない被害をもたらす危険性が指摘されています。

地球温暖化とその影響
地球温暖化とは、大気中にある二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどの温室効果ガスが増え過ぎ、宇宙に逃げようとしていた熱が地表にたまりすぎることで、気温が上昇したり、地球全体の気候が変化することです。

二酸化炭素の排出が急激に増え始めたのは、18世紀の産業革命以降のこと。石炭や石油などの化石燃料を燃やし、たくさんのエネルギーを得るようになった結果、大気中の二酸化炭素が急速に増加。これが、地球温暖化を引き起こす、主な原因と考えられています。

温度上昇がもたらすさまざまな変化

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地球の平均気温が変化することにより、さまざまな変化や影響が生じることが懸念されています。

特に、このままの経済活動を続けた場合には、21世紀末に4度前後の気温上昇が予測されており、その結果として、取り返しのつかない影響がもたらされると予測されます。

こうした影響を防ぐため、これまで世界各国による国際交渉が進められ、2015年に「パリ協定」が採択されました。
これは、産業革命からの平均気温の上昇を2度未満に保ちつつ、1.5度に抑える努力を追求することを、世界の目標として定めたものです。

COP24では「パリ協定のルール作り」に成功
©WWFジャパン

COP24では「パリ協定のルール作り」に成功

現在までに、世界の平均気温は産業革命前よりもすでに1度上昇しています。
毎年のように異常気象による河川の氾濫や土砂災害などが多発しており、この先1.5度、2度と気温が上昇していくと影響がさらに深刻化していくことが懸念されます。

実際、地球温暖化に関する世界の化学的な知見を集めたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2018年10月に発表した「1.5度特別報告書」では、2度と1.5度のわずか0.5度の違いでさえ、海面上昇や酸性化、また、干ばつや洪水を引き起こす極端な気象変化を増加させると警鐘を鳴らしており、もはや2度に抑えられたとしても、ある程度の影響は避けられません。

したがって、温暖化の進行を食い止めるためには、1.5度を目指して温室効果ガス(CO2など)の排出量を減少させていくと同時に、すでに生じている悪影響への備え(適応)を進めていくことが必要となります。

石炭火力発電からの脱却は喫緊の課題
©WWF James Morgan

石炭火力発電からの脱却は喫緊の課題

気温上昇で表面化する8つのリスク

IPCCの第5次評価報告書は、このまま気温が上昇を続けた場合のリスクを、大きく次のように示しています。

  • 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
  • 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
  • 極端な気象現象によるインフラ機能停止
  • 熱波による死亡や疾病
  • 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
  • 水資源不足と農業生産減少
  • 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
  • 同じく海域の生態系、生物多様性への影響

そして、これらのリスクは、温度の上昇の度合いによって、さらなるさまざまな影響を引き起こす可能性があると指摘されています。

A:暑熱や洪水など異常気象による被害が増加
B: サンゴ礁や北極の海氷などのシステムに高いリスク
マラリアなど熱帯の感染症の拡大
C:作物の生産高が地域的に減少する
D:利用可能な水が減少する
E: 広い範囲で生物多様性の損失が起きる
F: 大規模に氷床に消失し海面水位が上昇
G: 多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスク

※ 1986~2005年の世界の平均気温を基準とする。影響は、気温変化の速度や今後の対策の内容により異なる。(IPCC AR5 WG2 SPMを基に作成)

※ 1986~2005年の世界の平均気温を基準とする。影響は、気温変化の速度や今後の対策の内容により異なる。(IPCC AR5 WG2 SPMを基に作成)

そのほか、21世紀中の地球温暖化は、極端な異常気象や海面上昇などの長期的な影響の両方によって、大規模な人々の移住をよぎなくさせると予測されています。


これは、特に温暖化の影響に弱い途上国において、強く懸念されている問題です。
すでに貧困や飢餓に苦しむ地域に、さらに温暖化の被害が加われば、内戦や武装勢力などの間で生じる暴力的な紛争のリスクを増加させる可能性もあります。

また、温暖化が多くの国の重要なインフラや領土に及ぼす影響は、国家安全保障問題に発展するおそれがあります。

このままの気温上昇が続くならば、温暖化は国の安全保障にまで関わる問題であるとIPCCは報告しているのです。

あまりに急!地球温暖化の真の脅威

© Global Warming Images / WWF

過去約100万年の間に、地球上には複数回の氷河期が存在し、寒冷な期間と、その間の温暖な期間(間氷期と呼ばれる)が繰り返されてきました。

IPCCの最新の知見でも、最後の氷河期から産業革命前にかけて、約3~8度の平均気温の変化があったとされています。

しかし、この間に生じた気温変化は、「急激な気候変動」と呼ばれる時期の例外を除けば、約10万年という自然のサイクルの中で起きてきた自然現象です。

それに比べ、人類による現在の地球温暖化による気温上昇は、とても短期間で起きているため、多くの野生生物が環境の変化についていけず、減少・絶滅するおそれが非常に高いとみられています。

温室効果ガスの排出量がこのまま増え続ければ、地球の自然環境は大きく損なわれることになりかねません。

それは、地球が長い時間をかけて育んできた環境を、人類がわずかな期間で壊してしまうということであり、何としても防がなくてはならないことです。

多くの野生生物や未来の人々への影響をできる限り抑えるためには、「今すぐ」温室効果ガスを減らす取り組みを始めることが必要なのです。

では実際に地球温暖化が進むと、どのような面で、どのような影響があるのでしょうか。
3つに分けて解説します。

①水の問題
②自然への影響
③暮らしへの被害

①水の問題

© Global Warming Images / WWF

海面が上昇する

地球温暖化によって海水が膨張し、過去約100年で世界の平均海水面は16センチ上昇しており、近年の方が、上昇率が高くなっています。南太平洋の島国では浸水が進み、海岸線が内陸へ入り込んでいます。国によっては、国土全体が海に沈んでしまう危険も増大しています。

暮らしのための水がなくなる

たくさんの人々が、生活するための水を得にくくなります。特に、乾燥した地域に住む人々や、氷河や雪に生活用水を頼っている人々は、その被害を受けやすくなります。氷河や雪解け水から生活するための水を得ている人は、世界の人口の6分の1を占めます。

洪水が起きる

山岳地域では、氷河が溶けることによって氷河湖ができ、それが決壊することで、大規模な洪水が起こりやすくなります。また、これらの山岳地帯は、世界の大河川の源流にあたるため、氷がなくなると、その河川の流域全体で水不足が起きるおそれがあります。

災害が増える

嵐や大雨などの異常気象が増えるため、沿岸地域では洪水や浸水の水害がひどくなります。特に人口が集中する都市域では、極端な降水や内水洪水、沿岸洪水、地滑り、大気汚染、干ばつ及び水不足が、人々や、資産、経済、および生態的なリスクをもたらすでしょう。

②自然への影響

生きものたちが消えてゆく

© Staffan Widstrand/Jürgen Freund /naturepl.com /Alex Mustard/Debra Garside/WWF

IUCN(国際自然保護連合:International Union for Conservation of Nature and National Resources)の「レッドリスト(絶滅のおそれのある種のリスト)」(2017年)によると、地球温暖化が原因の一つとなって絶滅の危機に瀕している 野生生物は、ホッキョクグマなどをはじめ、1,750種以上にのぼります。これまでにないスピードで変化していく気候、多発する異常気象が引き起こす環境の変化は、ホッキョクグマをはじめ、さまざまな野生生物を、絶滅の淵へ追い込んでいきます。

生態系が変化する

野生の生きものたちの危機は、地球上のあらゆる生き物を支える自然の崩壊へつながります。生育に適した気温や降水量のある地域に育つ植物は、気温や降水量が変化すると、生育地域を変えざるを得なくなります。中には、気候の変化に適応でき ず、絶滅する植物も出てくるかもしれません。また、それに伴い、植物に依存して生きる動物も、生息域を変えなくてはならなくなり、変化に対応できない種が 減少・絶滅する可能性があります。

海の生態系にも影響が

気温と同様に生じる海水温の上昇は、海のさまざまな生物にも影響を及ぼします。特にサンゴは水温の変化に弱く、地域的に死滅する可能性が指摘されています。また、二酸化炭素が海洋に吸収されることで、海水の酸性化が進み、植物プランクトン、動物プランクトン、サンゴ、貝類や甲殻類など、海洋生態系の基盤を担う多くの生物がその打撃を受けると予想されています。これらは、さらに多くの海洋生物の成長や繁殖に影響を及ぼし、海洋全体の生態系に大きな変化が起きる怖れがあります。

森林火災が増える

乾燥化が進む地域では森林火災が増え、野生生物の生息地が広く失われるおそれがあります。また、発生件数が増えるだけでなく、火災そのものが長期化し、森林が回復不能な水準まで失われてしまう地域が増加するおそれがあります。さらに、多くの炭素を蓄えた樹木が集中する森林の焼失は、大気中への大量の二酸化炭素の放出を伴うため、これが世界の地球温暖化を、さらに加速させてしまうことにもつながります。

湿地の自然がなくなる

主に海面の水位が上昇することにより、沿岸部を中心とした地域に広がる湿原や干潟で、塩分濃度の上昇や水没といった被害が出ると考えられています。この結果、世界各地の湿地環境が、大幅に減少するとみられています。また、内陸部の乾燥地帯など、もともと淡水の河川や湖沼、湿地などが少ない地域では、温暖化に伴う干ばつなどの影響を大きく受けることになります。湿地環境は、健全な淡水資源の母体でもあるため、こうした自然の劣化や消失は、人が農業や工業などで使える水の減少にもつながってきます。

③暮らしへの被害

© Tim Rasmussen/The Denver Post via Getty Images/WWF-US

農業への打撃

気温や雨の降り方が変わると、農作物の種類やその生産方法を変える必要がでてきます。特に経済力の無い小さな規模の農家はこれらの変化に対応するのが難しいため、生産性が下がる可能性があります。乾燥地域においては、土壌水分が減少することで、干ばつに見舞われる農地が増加する可能性が高いとされています。

病気や飢餓が広がる

食料の生産性が下がると、病気にかかる人や、飢餓状態に陥る地域が増える可能性があります。特に食料の生産性が下がるアフリカ地域で影響がひどくなると予想されます。また、熱帯などの伝染病を媒介する生物の分布域が変わることで、免疫をもたない人々に病気が広がり、被害が拡大するおそれがあります。

異常気象が襲ってくる

異常気象による熱波・洪水・旱魃・森林火災などの自然災害が頻繁に起こり、被害を受ける人が増えると考えられています。自然災害の規模も大きくなり、被害が拡大すると予測されています。

「適応」に直ちに取り組むことの必要性

これらの温暖化による悪影響は、産業革命前に比べて気温上昇を2度未満に抑えることができたとしても、ある程度の影響はすでに避けられません。

IPCCの第5次評価報告書は、温暖化により引き起こされる現象に、対応する手段も明記しました。これを「適応」と言います。

異常気象や食糧の生産が落ちるといった温暖化の影響は、適応の手段をとっていくことによってかなり軽減されることがわかっています。

温暖化は、原因である温室効果ガスの排出量を削減する努力だけではなく、影響に適応する準備も同時に行っていかなければならないところまで来ています。

WWFの地球温暖化に対する取り組み

世界各国にネットワークを持つ「WWF気候・エネルギー・プラクティス」では、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量を大幅に削減する具体的なアクションを、各国政府と産業界、金融セクター、そして一般市民から引き出すことができるよう、世界各地で活動を展開しています。

WWFは、世界と日本の人々が、持続可能で、安全・安心で、真に豊かな未来を享受するためには「自然エネルギー100%」の未来を目指すことこそが必要だと考え、『脱炭素社会に向けた長期シナリオ提案』を提示しています。

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