©WWFジャパン

教育プログラム「くんくんPlanet」が2019年度グッドデザイン賞を受賞!

この記事のポイント
WWFジャパンが開発した環境教育プログラム「においでめぐる動物園―くんくんPlanetに出かけよう―」が2019年度グッドデザイン賞を受賞しました。本プログラムは動物のうんちのにおいを嗅ぐという五感を刺激する「体験」をしたあと、においを言葉に「表現」したうえで、野生動物の生態や生息環境についての知識を「学ぶ」という学びのプロセスがデザインされています。今後も全国各地の動物園の協力を得ながら、実施していく予定です。

「くんくんPlanet」はどんなプログラム?

動物のうんちのにおいを嗅ぐ

自然や野生生物を学び、感じ取る機会や手法は、一つではありません。

その中で、WWFジャパンは現在、特に「におい」に注目した「くんくんPlanet」の普及と推進に取り組んでいます。

この「くんくんPlanet」は、参加者がまず、動物のうんちのにおいを嗅ぐところから始まります。

動物のうんちのにおいは、肉食か、草食か、はたまた果実食か、など食べているもので大きく異なります。

また、同じようなものを食べていても、どのように消化しているか、うんちをなわばりアピールなどに利用しているか、など生態によって異なるにおいがします。

うんちのにおいをかぐ、という行為は、その動物がどんな自然環境に生息し、どんな生態を持っているかを知ることにつながります。

「くんくんPlanet」は、この「においの違い」そして奥深さに注目した、新しい環境教育のプログラムです。

  • さらに表示する
真剣に嗅ぎます
©WWFジャパン

真剣に嗅ぎます

うんちのにおいを言葉に表す

うんち、と言われれば「くさい」と思う人がほとんどでしょう。

しかし、一言で「くさい」と言っても、いろいろな「くさい」があります。

においを表そうとすると「あまいにおい」「バラの香り」「牧場のような」など、自分が体験したことのある味や物、場所に例えることがほとんどです。

それは、人間がにおいを表現する言葉をあまりたくさん持っていないからです。

さらに、においの表現は、個人の持つ体験に依存しているものでもあります。

そのため、それを自分の言葉で語ることは、各々が生きてきた環境や文化を知り、伝える一つのきっかけとなります。

動物のうんちのにおいを参加者自身の経験値と照らし合わせて表現をすることは、その動物の生態を、参加者自身の経験で語ることにもつながるのです。

自分の記憶と照らし合わせて言葉をつむぎます
©WWFジャパン

自分の記憶と照らし合わせて言葉をつむぎます

野生動物の生態や生息環境について学ぶ

さまざまなにおい、そして背景を持つ、動物たちのうんち。

しかし、これを入手し、実際ににおいをかぐ機会は、なかなかありません。

そこで、このプログラムでは、動物園のご協力をいただき、園で飼育されている「絶滅危機種」の動物のうんちを使っています。

なぜ、そんなにおいがするのか、多くの動物を飼育している動物園は、動物たちが食べているものや彼らの生態、生息環境を知る上で、格好の場所。

ここで、「においを嗅ぐ」という原始的な体験と、「においを言葉にする」という表現活動をすることで、体験と知識の両方が参加者の記憶にしっかり残ることを期待したプログラムなのです。

においを嗅いだ後、実際に動物を見ながら学びます
©WWFジャパン

においを嗅いだ後、実際に動物を見ながら学びます

2019年 グッドデザイン賞を受賞

「くんくんPlanet」にデザインされているもの

「くんくんPlanet」は、においを嗅ぐ、においを表現する、そして動物の生態・生息環境について学ぶ、という3つのステップで構成されています。

未だ解決への道のりが遠い環境問題は、今や教科書でのお勉強の1つとなり、知識として扱われがちです。

本当の解決のために、「体感」を持って「知識」を習得し理解をすることを期待して「くんくんPlanet」はこの学びのプロセスがデザインされています。

また、「くんくんPlanet」で参加者が生み出すうんちのにおいを表現した言葉「うんことば」は、参加者の体験や感性に依存するため、オリジナリティにあふれた表現になります。

一度のイベント開催で多いときは1つの動物につき500以上の「うんことば」が集まり、まさに多様性に富んだ表現を見ることができます。

一見、環境問題や生物多様性とはかけ離れているようですが、参加者同士がお互いの表現を受け入れ楽しむ心は、生物多様性を大事にするマインドを醸成すると考えています。

グッドデザイン賞の評価

こうしたプログラムの考え方が、2019年グッドデザイン賞でも評価された一つのポイントになりました。

今回、「くんくんplanet」が受賞するにあたり、審査員からは以下のような評価をいただきました。

「生物の多様性と生態系のつながりを、「糞の臭い」というユニークな視点で実学的な教育に展開している企画として大変面白い取り組みだ。つながりの可視化の仕方やインターフェース、あるいはブランディングをさらに突き詰めると、日本中の動物園で実現可能なプログラムに発展できそうな気がする。」

実際、「くんくんplanet」では、イベント開催ごとに集められた「うんことば」は、味覚や類似性などで分析し「うんことばホイール」としてアーカイブしています。

このプログラムを開催した動物園(よこはま動物園ズーラシア・恩賜上野動物園・沖縄こどもの国)ごと、動物種ごとに作成された「うんことばホイール」を見ると、動物の違いで見られる言葉の多様性だけでなく、各地域の言葉や文化が色濃く反映されていることがわかるものになっているのです。

今後はそれらの分析を進めるとともに、一般の方への公開を計画しています。

また、それと同時にさらに多くの方にこのプログラムを届けるべく、新たな動物園での開催も予定しています。

詳しくはWWFジャパンのウェブサイトで告知していますので、どうぞご覧ください。

「くんくんPlanet」企画協力者のご紹介

美術作家:井上尚子さん

「くんくんPlanet」は、プログラム全体の構成も、各フェーズで使われるツールも緻密にデザインされています。

このデザインに全面協力してくださっているのが、美術作家の井上尚子さんです。

井上さんは「におい」と「記憶」をテーマにアーティスト活動されており、環境、文化、歴史を匂いから楽しむワークショップ「くんくんウォーク」を教育機関、美術館、図書館、植物園、企業,公園、空港、島など国内外で開催。
異業多種の方とユニバーサルプログラム開発・開催も行なっています。

この「くんくんPlanet」には、企画から実施まですべてにおいて協力してくださっており、グッドデザイン賞の共同受賞者でもあります。

井上さんとにおいについて語る参加者。
©WWFジャパン

井上さんとにおいについて語る参加者。

ご協力いただいた動物園

「くんくんplanet」のイベントは、実際の動物の飼育や展示を行なっている、動物園のご協力により実施されています。これまでに共催いただいた各園は、下記の通りです。

  • よこはま動物園ズーラシア(2017年11月、2018年8月、11月、2019年8月、11月(予定))
  • 天王寺動物園(2018年5月)
  • 恩賜上野動物園(2019年3月)
  • 沖縄こどもの国(2019年5月)

この記事をシェアする

WWFの活動を
ご支援ください

WWFの活動は皆さまからの会費、寄付、募金により支えられています。
あなたのお気持ちにあった方法で、ぜひ、ご支援をお願いいたします。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP