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共同提言:IUU水産物の輸入排除と水産物トレーサビリティの確立を!

この記事のポイント
今、「IUU漁業」が、海の自然の恵みである水産資源を脅かす大きな国際問題になっています。これはルールを守らずに行なわれる漁業のことで、世界の持続可能な水産資源の管理に脅威をもたらし、ルールを順守する漁業者を不公平な競争にさらす深刻な要因となっています。この解決を目指し、WWFジャパンを含む8団体で作る「IUU漁業対策フォーラム」は2018年6月1日、共同提言を発表。日本政府に対し、早急にIUUによる水産物の輸入を規制し、国内でのトレーサビリティの確保を求める具体的な提案を行ないました。

急がれる日本のIUU漁業対策

© James Morgan / WWF-US

違法(Illegal)、無報告(Unreported)、無規制(Unregulated)に行なわれる漁業、「IUU漁業」。
この漁業が今、世界各地で海洋保全の取り組みを阻害し、水産資源(シーフード)の管理や労働者の安全を脅かす問題として、また法規制を順守する漁業者を不公平な競争にさらす原因として、大きな国際問題となっています。

このIUU漁業の根絶に向けた取り組みには、国際的な協力が欠かせません。

仮に、特定の国だけがIUU漁業によって漁獲された魚や貝、イカなどの水産資源を締め出そうと単独で厳しい輸入規制を行なっても、そうした水産資源は、規制の緩い別の国の市場に流れてしまい、結果的にIUU漁業が継続されることになるからです。

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IUU漁業への対策は、豊かな海洋環境を守るための取組の一つです
© Jürgen Freund / WWF

IUU漁業への対策は、豊かな海洋環境を守るための取組の一つです

現在、アメリカやEUなど主要な水産物市場国では、輸入製品の確認体制やトレーサビリティ(流通経路の透明化)の確保に積極的に取り組み始めています。

しかし一方で、世界最大級の水産物の生産国であり輸入国でもある日本は、国際社会の中で、他国に遅れを取っています。

そのような中、日本政府は2017年、内閣府の規制改革推進会議の「水産ワーキング・グループ」で、水産物流通におけるトレーサビリティの確保やIUU漁業等の不正な漁業への対応について、検討を開始しました。

これは、今後の日本の漁業に期待される、成長産業化に向けた取り組みとして行なわれているものの一つです。

© Michel Gunther / WWF

国内で流通する水産物のトレーサビリティ確保がIUU水産物の排除につながります

実質的なIUU漁業対策となる2つの制度を提案

しかし、このワーキング・グループでの議論の対象は、日本から海外に輸出される水産物に限定されており、日本への輸入水産物や、輸出を目的としない国内の水産物については、ほとんど議論はされていません。

そこで、政府によるIUU漁業対策に関する議論に影響を与え、より実効性のある制度が導入されることを促すため、2018年6月1日、WWFジャパンを含む8団体で作る「IUU 漁業対策フォーラム」では、共同提言を発表しました。

この「IUU 漁業対策フォーラム」は、2017年9月の発足以来、IUU漁業対策の強化のために必要な取組について、議論や検討を継続。

実質的なIUU漁業対策として、早急に、 IUU 水産物の輸入規制と日本で流通する全ての水産物におけるトレーサビリティ確保に向け、以下の2つの制度を導入するよう日本政府に対して求めました。

1)IUU水産物の輸入規制について

海外で漁獲された IUU 水産物の日本市場への流入を防ぐため、輸入時に IUU 漁業に由来しないことを確認することを明確にした制度

2)日本で流通する水産物のトレーサビリティの確保について

IUU 漁業に由来する水産物が日本市場で流通することを防ぐために、日本市場に流通する水産物のトレーサビリティを確保する制度

© Hélène Petit / WWF

漁獲されたキハダマグロ

制度設計のあり方を具体的に提示

さらに共同提言は、それぞれについて、制度設計のあり方を具体的に示し、実効性のある対策を取るよう促しています。

例えば、IUU水産物の輸入規制の制度では、将来的に日本で流通する全ての水産物を対象とするために、どのようなことから導入するのか、また日本政府に水産物に関する情報をどのような方法で報告すべきかなどです。
さらにWWFジャパンとしては、制度に違反した場合の罰則適用などの検討も必要であると考えています。

また、これらの制度の導入に併せて、 IT技術を活用することも提案。
あくまで課題の一部を解決する手段ではありますが、IT技術によって正確で迅速に漁獲量や操業実態が把握されれば、その結果として、水産資源のより公平な数量管理の実現や、水産関連事業者の業務の効率化、消費地へのより多くの情報の伝達など、多くのメリットが期待されます。

IUU漁業対策フォーラムでは、このような制度を国内で導入し、かつ国際的な連携をすることで、日本で流通する水産物について複雑なサプライチェーンの一貫したトレーサビリティを徹底し、IUU漁業の根絶につなげていくことができると考えています。

多様な関係者がオープンに協議する機会を!

また共同宣言の最後では、こうした制度の検討を促進するために、漁業者、水産関係事業者、研究者、NGOなど、多様なステークホルダー(関係者)による開かれた協議の機会を設けるべきことについても要望しています。

2018年6月8日にIUU漁業対策フォーラムが東京都で開催した国際セミナー「IUU漁業対策とトレーサビリティの推進」は、その実践の場の一つとなりました。

このセミナーには、国内外の研究者、漁業者、政府関係者、そしてNGOが参加。
IUU漁業対策のための最近の調査結果や技術革新などの取組を発表するとともに、今後の対策について活発な議論が交わされました。

©WWFジャパン

国際セミナー「IUU漁業対策とトレーサビリティの推進」には100人が参加。WWFジャパンはIUU漁業リスク調査の取り組みについて発表しました。

今後、さらに世界の人口が増大し、水産資源への依存が高まることが予想される中で、資源を生み出す母体である海の環境を保全し、資源そのものの利用の在り方を「持続可能」な形に切り替えてゆくことは、極めて重要かつ緊急の課題です。

WWFでは特定の国や業界に与しない立場から、海の環境の未来を考え、IUU漁業対策フォーラムへの参加と協力を通じた漁業の改善を目指してゆきます。

国際セミナー「IUU(違法・無報告・無規制)漁業対策とトレーサビリティの推進」概要

 
日時 2018年6月8日(金) 13:00~17:30
場所 TKP赤坂カンファレンスセンター
参加者 約100名
主催 IUU漁業対策フォーラム(WWFジャパン、株式会社シーフードレガシー、セイラーズフォーザシー⽇本⽀局、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、オーシャン・アウトカムズ、トラフィック、 ザ・ネイチャー・コンサーバンシー、GR Japan株式会社)

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