太平洋クロマグロの資源管理に合意 2010年WCPFCの北小委員会終了


2010年9月7日から福岡県で開催されていた、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の第6回北小委員会が10日、閉幕しました。会議では、目標であった資源管理の強化について、一応各国の合意は成立したものの、一部の国の適用除外措置が存続することになったため、先行きに課題を残す結果となりました。

「北小委員会」での合意

今回のWCPFC北小委員会の会議で焦点となったのは、近年漁獲の増加が懸念されている日本沿岸を含めた太平洋のクロマグロ(本まぐろ)の資源管理を、2011年以降どのように行なっていくか、という点です。

今回の会議の前提となったのは、前回2009年に開かれた北小委員会の会議で合意され、その年末に開かれたWCPFCの年次会合でも採択された、以下の2つの提案です。

  • 2010年の太平洋クロマグロの漁獲する努力量(隻数や操業日数など)を2002-2004年の水準より増加させないこと
  • 0-3才の幼魚の漁獲を減少させるよう考慮すること

しかし、この合意は、2010年の1年間のみ有効とされる内容であり、しかも、太平洋クロマグロの漁獲量を近年増加しつつうある韓国については、EEZ(排他的経済水域、いわゆる自国沿岸の200海里内)内で操業する限り、上記の合意の適用外とする、特例がついていました。

「本まぐろ」の名で知られるクロマグロ

世界の海のマグロ類の資源管理にかかわる国際機関。海域や魚種によって管轄が異なる。
くわしく見る

科学委員会の勧告には「合意」しかし...

今回開かれた2010年の北小委員会の会議については、開催に先立つ7月に、WCPFCの諮問機関である科学者委員会(ISC)の会合が開かれ、太平洋クロマグロの「特に未成魚の漁獲を減らすよう、漁獲圧を2002年から2004年のレベル未満まで削減するべき」という保存管理勧告が出されていました。

これは、太平洋クロマグロの資源管理を、今後各国が強化してゆくために、非常に重要な勧告であり、WWFとしても各国の合意を要望してきました。

結果、今回の会議では、ISCによる勧告に対する合意が実現。日本をはじめとする、多くの参加国が、太平洋クロマグロの資源管理に前向きな姿勢を見せました。

しかし、韓国の政府代表から「漁獲を減少させるのに時間が必要」という発言があり、勧告については合意しつつも、2009年に設けられた「例外措置」をはずすことを留保すると表明。

これによって、前年からの課題だった「一部の国の適用除外措置」も存続することになってしまい、生産国一丸となった、太平洋クロマグロの管理措置体制実現は、今回の小委員会でも見送られることになりました。

適用除外なき合意を!

今回の北小委員会の会議の結果について、WWFは科学委員会による保存管理勧告を、各国が合意したことについて評価する一方、韓国が留保を表明したことによって、例外的な「適用除外措置」が残されたことに対し、強く懸念を表明しました。

太平洋クロマグロの資源を保全し、持続可能な形でこれからも利用してゆくためには、漁獲・生産にかかわる全ての国が、これまでの漁獲状況に関わらず、北小委員会で合意した資源管理措置に取り組む必要があります。

2010年12月には、WCPFCの年次総会(本委員会)が開催される予定ですが、WWFではそれまでに、韓国が自国の適用除外措置を撤回し、国際的な資源管理の取り組みに参加するよう、強く要望しています。


記者発表資料 2010年9月10日

太平洋クロマグロ資源管理強化のために適用除外なき合意を

中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会終わる

【東京発】2010年9月7日から福岡県にて開催されていた、中西部太平洋まぐろ類委員会(以下WCPFC)の第6回北小委員会が閉幕した。当委員会で焦点となったのは、近年資源状況の悪化が懸念される太平洋クロマグロの管理体制。科学委員会が勧告する資源管理強化の合意は一応はなされたものの、一部の国の適用除外措置が存続。生産国一丸となった管理措置体制実現は見送られることとなった。

2010年9月7日から4日間にわたって開催された、WCPFCの北小委員会が10日閉幕した。昨年の北小委員会での合意(*)は、WCPFCの年次会合でも採択されており、今回の北小委員会での合意は今年の年次会合での採択を待つことになる。

(*)(1)2010年の太平洋クロマグロの漁獲努力量(隻数や操業日数など)を2002-2004年の水準より増加させないこと (2)0-3才の幼魚の漁獲を減少させるよう考慮すること。ただし2010年の1年間のみの合意であり、主要漁獲国として台頭しつつある韓国のEEZ(排他的経済水域)内は、管理措置の適用から除外する。

今年の7月に行われた科学者委員会(ISC)では、未成魚を中心に漁獲圧力が高まっている太平洋クロマグロに対し、「特に未成魚の漁獲を減らすよう、漁獲圧を2002年から2004年のレベル未満まで削減するべき」との保存管理勧告が出され、2011年以降の資源管理措置の合意が注目されていた。

今回の北小委員会に際し、WWFは、

  1. 科学委員会の保存管理勧告に従い、特に未成魚を中心に太平洋クロマグロの漁獲努力量を2002年-2004年の水準以下に削減可能な、実効性のある管理措置勧告案を合意すること
  2. 太平洋クロマグロを生産する全ての国が、過去の漁獲状況に関わらず北小委員会で合意した資源管理措置を例外なく導入すると勧告案に明示すること

を要望。

1)については、資源管理措置への合意がなされた。しかし、2)については、韓国は、漁獲量の「削減」を目指すには時間がかかるとし、1)の資源管理措置に合意しながらも、200カイリ内の管理措置の適用除外を継続する意向を示した。

WWFは、昨年に引き続き、北小委員会が韓国の200カイリを規制の適用外としたことを遺憾に思うとともに、韓国が12月の本委員会までに適用除外措置を撤回することを強く要望する。

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