「エネルギー基本計画」を審議する第1回会合が開催されました


2011年10月3日、「エネルギー基本計画」を審議する経済産業省・総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の第1回会合が行なわれ、内容の見直しの過程がスタートしました。原子力を主軸としたエネルギー政策が転換され、温暖化の防止につながる将来像が打ち出せるか、重要な議論が始まりました。

始まった「エネルギー基本計画」の見直し

「エネルギー基本計画」は、日本の将来のエネルギー政策を決定する大きな要因の一つです。これまで「基本計画」では、原子力を軸にした政策が中心とされてきましたが、福島第一原子力発電所の事故を契機に、その大幅な見直しが求められています。

これまで、同委員会のメンバーは、経済産業省の意向に沿った原子力政策推進派で占められていましたが、今回の委員会のメンバーには、現状の原子力重視のエネルギー政策や、電力体制に批判的な委員が、25人のうち3分の1ほど入っています。

これは、日本のエネルギー政策の議論過程では、ほぼ初めてのことであり、多様な意見が議論される土壌が形成されることになりました。

しかも議論過程はインターネット中継で公開されたのです。国民に開かれたエネルギー議論としよう、という新しい経産大臣の心意気が感じられます。

10月3日の第1回会合では、冒頭、枝野幸男経産相が「現状のあり方を前提とする議論ではなく、本来こうあるべきというエネルギー議論をお願いしたい。ここで妥協点を探ることはしない。エネルギー議論の過程は徹底して公開していく」と意気込みを表明していました。

動画【わいるどアカデミー】
第4回「エネルギー基本計画」

その後、主張の異なる25名全ての委員が意見を表明。一人3分ずつという短い時間でしたが、述べられた意見は、原発の可否や再生エネ、省エネの重視度、電力システムのあり方をめぐってくっきりと分かれました。しかし、今までは原発推進派でメンバーが占められ、最初から落とし所が決まっていた従来のエネルギー基本計画の審議会とは異なり、かつてないほど議論が活性化することが期待されます。

脱原発と自然エネルギー普及への道

2010年に閣議決定されたエネルギー基本計画では、2020年に9基、2030年に14基以上の原発新設という非現実的なエネルギー政策がうたわれていました。そしてこれが実現するならば、2030年に1990年比でCO2が30%削減できるとうたわれ、あたかも原発推進が温暖化対策であるがごとく、装われたのです。

しかし、福島原発での事故の後、原発そのものが抱える大きな問題が露呈し、不当に原発のコストが低く喧伝されてきたことは、周知のこととなりました。

動画【わいるどアカデミー】第3回
「原発は温暖化防止に役立っていない!」

産業構造の問題も指摘されています。本来の温暖化対策とは、エネルギーの総需要を抑え、省エネルギーを進める政策を導入することが第1義であり、その上で安全な再生可能エネルギーを急速に普及していくことです。原発のような自然環境に多大な危険を及ぼすエネルギーを温暖化対策であると強弁したのは、大きな誤りでした。

原発に代わる、安全で将来性のあるエネルギーの自給と、温暖化防止の実現を可能にする、再生可能な自然エネルギーの大幅な普及を実現するのは、今をおいてありません。

また自然エネルギーの普及と同時に、大幅な省エネを進めることが大切です。2011年の夏は、節電により、国内でかつてない規模のエネルギー総需要の削減と省エネが行なわれました。

こうした実績と今後のさらなる可能性を盛り込み、原発に頼らない安全なエネルギー社会へと変わる「エネルギー基本計画」を作る必要があります。その案の原型を議論する今回の委員会の役割は、将来的にも非常に大きな意味を持つものになるといえるでしょう。

日本の政策を変えてゆく

WWFジャパンでは、「エネルギー基本計画を変えよう」と、2011年5月から署名活動を行なっており、国内外からすでに4万人の署名を集め、委員長と各委員に対し、基本計画改定のための7つのポイントと共に、その旨を要望書にまとめて送りました。

この7つのポイントとは、

  1. 野心的な自然エネルギーの普及目標を掲げること
  2. 省エネの目標を掲げること
  3. 発送電分離を含む電力システムの抜本的な改革を進めること
  4. 原子力発電所を段階的かつ可能な限り早期に廃止していくこと
  5. 石油や石炭などの化石燃料に対する依存度を計画的に下げる方向性を打ち出すこと
  6. 温室効果ガスに関する「25%削減目標」と整合的なエネルギー起源CO2排出量削減目標を設定すること
  7. 議論のプロセスでの市民参加および透明性を確保すること

です。

国のエネルギー政策は、産業のためにあるだけではなく、国民全体の健康にも関わることであり、さらに人類にとって21世紀最大の環境問題ともいえる地球温暖化への対策にも密接に関わっています。

現世代だけではなく、将来世代の便益をも左右する政策であるから、多くの国民の意見を反映したものにしてゆかねばなりません。

情報の公開を最大限に活用し、議論に注目し、意見を言っていくことが求められています。多くの国民が関心を寄せていることがわかれば、政治も動きます。
WWFでも引続き「エネルギー基本計画」の改善を求める署名を募り、その力としてゆきたいと考えています。
引続き、ご賛同と呼びかけにご協力をお願いいたします。

記者発表資料

要望書

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