2012年 WCPFC年次会合、メバチの管理措置改定に失敗


フィリピンのマニラで2012年12月2日から6日までWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)第9回年次会合が開催されました。今回の会合では特に、危機的な資源の減少が懸念されているマグロの一種メバチの資源保護が注目されましたが、有効な措置は採択されず、周辺地域で漁業に携わる人々の暮らしを危うくする事態が生じつつあります。

失敗に終わったメバチの管理措置改定

アジアからオーストラリア地域の沿岸を含めた、日本を含む中西部太平洋のマグロ類の資源管理主体であるWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の第9回年次総会が、2012年12月6日に、フィリピンのマニラで終了しました。

日本をはじめとする32のWCPFCの加盟国は、今回の会合で、特に資源の危機が指摘されているマグロの一種メバチについて、資源保護につながる管理措置を採択することが期待されていました。

WWFも、マグロの生きる海の生物多様性と、その恵みを受けて生きる人々の暮らしを守るために、WCPFCが長期的視野に立った、実効性のあるメバチの保全管理を採択するよう、会議前から強く要請。環境と資源の保全のゆくえを決める一つの場となるはずであったこの会合の決定に注目していました。

しかし会合は、十分な結果を出すことなく閉幕。
メバチの過剰漁獲状態を改善するための基本的な措置は採択されず、現在行なわれている、効果の見られない管理措置を修正するにとどまりました。この修正措置の内容には、抜け穴や適用除外が多く含まれ、現状の過剰な漁獲の状態を放置するものです。

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採択がもたらしたメバチの危機

WCPFCの科学者は、メバチの資源を減少させている主な要因を、集魚装置(FADs)の使用にあると指摘しています。

メバチの幼魚は、カツオを獲る大規模な巻き網漁船が使用する集魚装置のような、海洋を浮遊する物体につく習性があるため、カツオの巻き網漁の操業過程で、極めて多くのメバチの幼魚が混獲されているのです。

委員会では2008年にメバチ幼魚の過剰漁獲を回避するために、集魚装置の使用に規制を導入しました。しかし、メバチの幼魚混獲による過剰漁獲は一向に改善されず、むしろ増加傾向さえ見られています。

今回の会合での採択は、これまで通りの集魚装置の使用を望む加盟国が、管理措置の現状維持を強く求めたため、行なわれることになりました。この結果、メバチをはじめ、混獲される生物種に、大きな犠牲を強いるカツオ巻き網漁業が、続行の許可を得ることになったのです。

これは、メバチ資源の崩壊を招く大きな要因となるのみならず、WCPFCの管理海域の沿岸国において、今後の長期的な食糧保障と経済活動に、深刻な危機をもたらすものになりかねません。

問われるWCPFCの責任

こうした決定を選んだ、WCPFCの加盟国は、中西部太平洋において、メバチを減少のスパイラルに落とし込んでいます。今、適切な決断がなされなければ、この海域におけるメバチ資源が崩壊する日も遠くはないでしょう。

世界の海のマグロ類の資源管理にかかわる国際機関。海域や魚種によって管轄が異なる。
くわしく見る

今回の会合では、混獲の犠牲になっている、海鳥やジンベイザメの保全、また操業漁船のサテライト・モニタリングの強化といった点で、若干の成果といえる合意もありました。

しかし、この海域で最も重要な漁獲対象である3種のマグロ、メバチとビンナガ、太平洋クロマグロ(本まぐろ)の資源保全への対応については、完全に失敗に終わりました。漁獲の制限を設定するための「限界基準値の導入」といった、メバチの保全管理措置を採択するための歩みは遅く、現状では、メバチの過剰漁獲を軽減できる実質的な措置は設けられていません。

WWFはこの結果を受け、会合での採択がもたらすことになる資源問題の深刻さを指摘するとともに、中西部太平洋のマグロ類の資源管理主体であるWCPFCに、その責任を果たすことを強く要望しています。

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