ロシア・カムチャッカでサケ漁のMSC認証審査始まる


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

ロシア東部のカムチャッカ半島でサケ漁などを営む二つの企業が、「MSC認証」の取得に乗り出しました。MSC認証は、環境に配慮した持続可能な漁業を認証するもので、そのマークは、「海のエコラベル」として知られています。日本にも多く輸入されているロシア産のサケが、持続可能な漁業の産品として世界に認められるか、今後のゆくえが注目されます。

広がる「持続可能な漁業」と、MSCの認証

今回、MSC(海洋管理協議会)の認証取得を目指しているのは、ロシアのナロディ・セヴェラ(Narody Severa)社とボルシェレック(Bolsheretsk)社の2社。

認証の対象となるのは、この2社が、カムチャッカ半島のボリシャヤ川、オパラ川、そしてキチーク川で操業している、サクラマス、シロサケ、ベニザケ、ギンザケの漁です。

今回、ロディ・セヴェラ社とボルシェレック社の審査にあたるのは、独立した第三者認証機関である「MRAGアメリカ」で、上記のサケ漁が、持続可能な形で適切に管理されているかどうかを審査します。

審査は科学者が構成する専門家チームによって行なわれ、MSCの基本である3つの原則、「資源の持続可能性」、「生態系へのインパクト」、「現行の漁業管理措置」が、評価されることになります。

2013年6月に始まった、その本審査は、14~16カ月で終了する見込みで、早ければ2014年末にはMSCのラベルがついたカムチャッカのサケが、世界の市場に参入することになります。

需要の多いMSC認証サケに対する期待

現在、カムチャッカではすでに、オゼルナヤ川で操業するヴィタズ・アブト社(Vityaz-Avto)と、デルタ社(Delta)のベニザケ漁が、MSC認証を取得していますが、今回認証が進んでいるロディ・セヴェラ社とボルシェレック社のサケ漁がこれに加われば、世界のサケ市場に供給される認証サケの量は、大幅に増えることが期待されます。

MSCのアメリカ地域ディレクター、ケリー・カフリンは、今回の認証審査の開始を歓迎しつつ、世界の水産物市場における、MSC認証を受けたサケの需要が多いことを指摘。認証取得の実現に期待する旨を発表しました。

WWFジャパンの水産プロジェクトリーダー、山内愛子も、カムチャッカが日本の食卓にサケを供給している重要な地域の一つであることから、「生物多様性に配慮し、持続可能な漁業の証であるMSC認証取得を目指す動きが活発になっていることは大変うれしいことです。日本の流通関係者もカムチャッカでのこうした動きがより加速するよう、サポートしていただきたい」とコメント。MSC認証サケの日本での流通実現の可能性を歓迎しています。

また、WWFロシアのベーリング海エコリージョンを統括するセルゲイ・ラファノフも、MSCが、持続可能な漁業によって生み出される水産物製品に、「環境への配慮」という付加価値を提供することで、世界の水産資源が枯渇せぬよう守り、海洋の生態系を保全することを目指した認証であることを強調、「世界の市場には、すでにこうした製品に対する大きな需要があり、MSC認証を受けた漁業は、その努力に相応した、利益と競争力を得ることになります」と、その発展性を示唆しました。

今回のロシア・カムチャッカでのサケ漁の認証が、実現することにより、世界の持続可能な漁業が、さらに拡大・促進されることが期待されます。

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