アジア最大のベニザケ漁業がMSC認証を取得


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

2012年9月、ロシア・カムチャッカ半島に位置するオゼルナヤ川のベニザケ漁業が、持続可能で適切に管理された漁業の基準に合致していると評価され、MSC認証を取得しました。これにより今後、この漁業によって獲られたベニザケには、環境に配慮したシーフードの証である青いMSCの「海のエコラベル」を付けられるようになります。これは日本の消費者にとっても関わりの深いニュース。なぜならオゼルナヤ川でとられたベニザケの多くは、日本に輸出されているからです。

天然サケの宝庫、オゼルナヤ川

オゼルナヤ川の源流は、南カムチャッカ自然保護区のクリル湖にあります。

ここは天然サケにとって重要な産卵と生育の場であるとともに、ヒグマやオオワシなど無数の野生生物のすみかでもあります。オゼルナヤ川の流れるカムチャッカ南西部の沿岸域は、太平洋のサケ7種(マスノスケ(キングサーモン)、ギンザケ、ベニザケ、カラフトマス、シロザケ(サケ)、サクラマス、ニジマス)が生息する、多様性が豊かな場所です。

WWFとワールドサーモンセンター(WSC)は、このカムチャッカ南西部における持続可能な漁業のために、保護地域の管理、密猟対策、そして市民主導の地元流域協議会などに財政面および技術面での支援をおこなってきました。

今回、ロシアでは3件目、カムチャッカ半島では初となるMSC認証を取得したオゼルナヤ川のベニザケ漁業は、ヴィタズ・アブト社とデルタ社によって運営されています。

オゼルナヤ川のベニザケは大部分が輸出されており、主な市場は日本ですが、一部は欧米へも輸出されています。オゼルナヤ川サケ漁業は、世界の天然サケ漁業のなかでも主力のひとつです。

MSCによれば、今回の認証取得は、2009年~2011年の漁獲量に基づくと、年間約4,000~6,000トンのMSC認証ベニザケの増加を世界市場にもたらすこととなります。

ロシアでの持続可能な漁業を目指す動き

今回の認証は、ロシアのサケ漁業においてMSC認証取得を目指す機運が高まっていることのサインであるといえるでしょう。

現在、ロシア全体の太平洋サケ漁業の20%がMSC認証を得ているか、あるいは審査中であるかのいずれかに該当しています。

これは、MSC認証サケの需要が世界的に高まっていることと、世界のシーフード市場においてロシアが重要な役割を担いつつあるということを裏付けています。

WWFロシア・カムチャッカオフィスのデニス・スミルノフは、今回のMSC認証取得に際し、「このオゼルナヤ川ベニザケ漁業は、持続可能であるためのすべての要件を満たし、世界の市場に供給できることを、カムチャッカ半島で初めて証明した漁業です。この漁業の努力が報われるとき、カムチャッカは『天然で持続可能』という点においてすでに実績のあるアラスカと肩を並べることになるでしょう」とコメントしています。

WWFジャパンでは、日本国内でのカムチャッカ産サケのMSC市場開拓などを通じ、引き続きカムチャッカのサケ漁業の認証取得を応援していきます。

また現在、北海道のサケ漁業がMSCの本審査に入っており、日本産のMSC認証サケの誕生も大いに期待されています。

 

関連情報

20130111a.jpg

南カムチャッカ自然保護区のクリル湖

20130111map.gif
20130111b.jpg

カムチャッカ半島の漁業者

20130111c.jpg

オゼルナワ川サケ漁業

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP