100%自然エネルギーの実現に向けて!「エネルギーシナリオ」電力系統編を発表


日本は将来に向けて、どのようなエネルギー社会を目指すのか? 今、安全で安心できるエネルギーのあり方が問われています。WWFでは、その1つの選択肢として「自然エネルギー100%」の未来をめざした『脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案』を行なってきました。これまでに「省エネ」「自然エネルギー普及」「費用算定」の3部を発表。そして2013年9月17日には、その最終部として、シナリオを実現するために必要な「電力系統編」を発表しました。

次世の主流となる自然エネルギー社会の実現に向けたシナリオ

2011年2月、WWFインターナショナルは、2050年までに世界は「再生可能エネルギー100%」を実現できる!その可能性を示した報告書を、エネルギーに関するシンクタンクEcofysと共同で作成しました。

この「100%自然エネルギー」を日本で実現する可能性について、WWFジャパンは2011年7月から『脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ』の提案を行なってきました。

これは、WWFジャパンがシステム技術研究所に研究委託して作成を進めてきたもので、2011年に、第1部〈省エネルギー編〉第2部〈自然エネルギー編〉を発表。2013年3月に、シナリオ実現のために必要な費用を算定した第3部〈費用算定編〉を発表しました。

今回の第4部〈電力系統編〉では、日本の「電力系統」が大量の自然エネルギーを受け入れられるのか、どの程度地域間や地域内の連系線の増強が必要となるのかを算定しました。

自然エネルギーの中でも主力となる風力や太陽光は、天候や気象によって出力が変動するため、その不安定さに問題があることが、これまでにも指摘されてきました。

しかし、電力が不足している地域と、余っている地域を結び、過不足の変動を吸収することができれば、自然エネルギーを大量に普及させることも可能です。

「電力系統」の課題をみきわめる

今回、WWFがまとめたエネルギーシナリオの第4部〈電力系統編〉では、この自然エネルギーの割合を日本で大きくするために必要な、国内の「電力系統(現在10の地域と電力会社に分かれている)」の連系を、どれくらい強化する必要があるのか、を追及しています。

シナリオでの検討の結果、自然エネルギーが日本の電力全体に占める割合が変化するに伴い、次のような対応が必要であることが分かりました。

自然エネルギーが占める割合達成年必要な対応
30%2020年 既存の地域間連絡線の容量で対応可能
50%2030年 現在の運用容量を超える。現時点から増強する必要あり
80%2040年 北海道-東北、中国-九州、それぞれの間で送電容量の増強が必要
100%2050年 多くの地域間で増強が必要。ただし、現在から対策を行なえば実現可能な範囲

また、これを前提とした場合、全国的な風力発電の地域配分を、電力需要の多い関東や関西周辺に多めに配分することや、火力発電設備は徐々に減らしつつも調整電源として活用すること、既存の揚水発電を活用すること、2050年までに蓄電池(定置型や電気自動車)を400GWhの規模で準備していくことなどが必要となりますが、いずれも実現は可能な対応と考えられます。

さらに費用の観点からも、これらの対策には有効性が見出せます。
2010年~2050年の40年間に、地域内・地域間連系線、系統安定化、および余剰電力利用(水素生産)と蓄電池のため必要とされるコストは、年間あたり6,277億円~7012億円となり、毎年のGDPの0.1%程度で収まります。

これらの数字と、WWFシナリオ第3部の〈費用算定編〉で明らかにされた、他の費用を合わせても、GDPの2%以内の費用となります。しかも、この「費用」は、リターンのある投資であるため、日本経済にとって実質的な意味でプラスとなるものです。

今回発表したWWFの「エネルギー・シナリオ」第4部〈電力系統編〉が示すとおり、自然エネルギーを中心とした新しい電力系統を構築していくことは、決して夢物語ではありません。

長期にわたって実現していくビジョンと、早急な準備作業の開始により、十分に実現が可能なものといえます。

現在、政府で検討されている電力システム改革およびエネルギー基本計画において、自然エネルギー中心のエネルギー体制構築へ向けた明確な方向性と具体的な対策が打ち出されることが重要です。

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