海に生きるカワウソの話


南米チリの海から送られてきた写真の中に、水から頭だけを出した、奇妙な動物の姿がありました。

海獣類であることは間違いないけれど、アザラシやアシカではありません。カワウソでした。

その名も、ミナミウミカワウソ。世界中でこのチリ南部の沿岸にしか生息していない動物です。

カワウソ類は水辺で生きるイタチの仲間で、世界に13種が知られています。

その中で、このミナミウミカワウソは、北太平洋すむラッコと同じく、ほぼ完全に海をすみかとしている珍しい種。

そしてまた、ラッコなどと同様に、毛皮を狙われて乱獲され、激減した歴史を持ちます。

かつて生息した海域の大半ではすでに絶滅。最近の生息数は分かっていませんが、1990年代初め頃には約1,000頭と推定されていました。

その中で、かろうじて残っている貴重な生息域の一つが今、私たちがWWFチリの仲間たちと一緒にプロジェクトを展開している、チロエ島をはじめとするチリ中南部の海域です。

近年は毛皮目当ての狩猟は減ったものの、食物である魚介類が乱獲によって少なくなっているほか、漁場を荒らす害獣として駆除される例はあるそうで、絶滅の危機はまだ続いています。

このチリの海で養殖されたサケ(サーモン)は、日本にも多く輸入され、日常の暮らしの中で消費されています。

昔、日本にもいたカワウソと同じ運命を、このミナミウミカワウソがたどることのないように。

私たちのめざす、野生生物の生息にも配慮した、自然環境に優しい漁業を広げてゆく取り組みを、ぜひ応援していただければと思います。

*ご支援キャンペーンは終了いたしました。ご賛同いただき、ありがとうございました。

自然保護室 次長
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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