お腹の調子と、決議案審議のゆくえ(ラムサールCOP11より)


ルーマニアのラムサール条約会議(COP11)より、自然保護室の安村です。

会議は、5日目を迎えました。
海外に行くと、4日目くらいにお腹を壊すのですが、今回も記録を更新です。

とにかく連日続く交渉と情報収集に、精力的に動き回っている政府代表、NGO、議長、事務局スタッフの皆さんの頑張りには、本当に頭が下がります。

私たちWWFスタッフも毎朝8時半から、その日に本会議で審議される決議案について話し合い、これに加筆修正する文言をまとめています。

そして、各国の政府代表団やNGOがどんな考えをもっているのか情報を集めます。修正案が通るかどうかは、私たちの考えに賛同をしてくれる政府があるかどうかで、大きく変わるためです。

例えば、今回WWFは条約の国際協力パートナー団体として、ツーリズムと湿地に関する決議案の、「ツーリズム、湿地管理にかかわる利害関係者と締約国が密接に協力していくことを促す」条項案に対し、水資源の利用にかかわる関係者も明記することを提案しました。これはコロンビア政府の支持を得ることができました。

また、WWFと同じ国際協力パートナーの「バードライフ・インターナショナル」が、多国間環境条約等との協力に関する決議案審議の中で、黄海など重要なアジアの湿地の状況を分析した報告書を、IUCNが取りまとめていることから、その役割を歓迎する、と明記するよう提案しましたが、これはスイス政府が支持してくれました。

もちろん、必ず支持が集まるとは限らず、この場合は、中国政府が反対を表明しました。

このように、各締約国やパートナー団体からの提案を踏まえて、決議案は改訂され、最終的な合意を経て採択されます。

「湿地消失の回避、緩和、代償のための統合的枠組み」、「湿地がもたらす人々や自然への利益を確保するための政府、企業による責任投資の促進」など、重要な決議の審議がまだまだ残っており、目が離せません。

私たちもさまざまな提案を行ないながら、よりよい決議が実現するように、働きかけを続けていきます。

会議場の椅子。一見豪華なのですが、大き過ぎ、重過ぎ、ふかふか過ぎで、すっかり腰とお腹をやられてしまいました。

WWFスタッフの早朝ミーティング。政府代表団の中には、WWFで働いていたことのあるが少なからずおり、またスタッフが政府代表に入っていることもあるので、そうした人脈も駆使して、情報の共有を図っています。

本会議で発言するWWFインターナショナル淡水担当のリー・リーフェン。

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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