リーダーズサミットが始まりました


11月6日、世界最大の大河、アマゾン川の河口に開かれたブラジルのベレンで、COP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)のリーダーズサミット(首脳級会合)が開幕しました。
 
 国連気候変動枠組条約は、33年前の1992年6月、ブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットで採択されました。やがてこの条約の下に、COP3で先進国に削減義務を課した京都議定書が、COP21で途上国を含むすべての国が気候変動に取り組むパリ協定が生まれました。そして、昨年のCOP29で、パリ協定のすべてのルールが完成しました。気候科学の進歩とともに会議ごとに前進を重ねながら成長し、33年ぶりに生誕の地、ブラジルに帰ってきたのです。

 世界はこうして地球温暖化への取り組みを進めてきましたが、温室効果ガスの排出量は今も増加し続けており、パリ協定が掲げる1.5度目標は危機に瀕しています。
 科学はベレンに参集する各国の首脳に厳しい現実をつきつけ、対応を迫っています。10月15日には、WMO(世界気象機関)が、大気中の二酸化炭素濃度が産業革命前より52%も高い423.9ppmに上昇し、前年からの増加量も過去最大だったと発表しました。10月28日、UNFCCC(国連気候変動枠組条約事務局)は9月末までに提出された64カ国の2035年目標を集約した「統合報告書」を発表。1.5度目標の達成にはいっそうの努力が必要だと警告しました。11月5日には、UNEP(国連環境計画)が世界の温室効果ガスの排出量が二酸化炭素換算で577億トンと過去最多を更新し、今世紀末の気温上昇は2.3〜2.5度になると発表しました。

COP30が開催されるベレンは、アマゾン川の河口に開かれた人口約150万人の都市。議長国ブラジルは熱帯林の重要性を世界に訴えるため、COPをアマゾン地域に誘致した

COP30が開催されるベレンは、アマゾン川の河口に開かれた人口約150万人の都市。議長国ブラジルは熱帯林の重要性を世界に訴えるため、COPをアマゾン地域に誘致した

今年は各国が国連に2035年目標を提出することになっていますが、これまでに提出した国はおよそ3分の1にすぎません。2日にわたるリーダーズサミットでは、まだ新目標を提出していない国々の首脳が、自ら野心的な目標を発表することが切望されています。

 そして、週明けの11月10日から、いよいよ2週間にわたるCOP30が開幕します。気候変動枠組条約と生物多様性条約を生み出し、世界の環境政策の歴史を変えた地・ブラジルで、COP30がふたたび新しい歴史を生み出すことを期待したいと思います。

 WWFジャパンは、世界各地から駆けつけた仲間とともに交渉の前進をめざして働きかけながら、非国家アクターとの連携を通して、COP30の成功のために活動していきます。日本からは地球の反対側で開催されるこの会議が身近に感じられるよう、会議の様子を発信していきますので、ぜひ閉幕まで引き続きご注目ください。

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