フロリダマナティーが大量死。命を奪ったものとは?
2018/08/15
メキシコ南部のタバスコ州の川で、今年1月以降少なくとも90頭近くのアメリカマナティー(フロリダマナティー)が相次いで死んでいるという、非常にショッキングな報道を先日耳にしました。
マナティーは海や川に生息する草食の大型水棲哺乳類で、世界に3種が知られ、ジュゴンとも近縁の動物です。
マナティーはまた、とても穏やかな性格で、好奇心旺盛であることから “The Gentle Giant(優しい巨人)”とも呼ばれています。
今回、大量死が確認されたアメリカマナティーは、メキシコ湾沿岸、カリブ海沿岸に広く生息し、IUCNのレッドリストでは危急種(VU)に指定されています。
特に、フロリダ沿岸に生息するマナティーは、モーターボートとの衝突による負傷や、骨や脂を狙った密猟により、1970年代にはわずか数百頭までに減少してしまいました。しかし、長年の保護活動の甲斐もあり、2016年にはおよそ6,500頭まで回復したという明るい知らせもあった中でのこの報道は大変残念でした。
報道によると、マナティーの死骸のほかにも魚やトカゲの死骸も見つかっており、河川沿いにある石油工場からの排水による水質汚染が原因ではないかと推測されています。一部の調査によると、川の水から基準値を大きく上回るカドミウムなどの重金属が検出されているとのことです。
この河川には、およそ500頭のマナティーが生息しているといわれています。
順次保護施設への移送が始まっているとのことですが、これ以上、息絶え水面に浮かぶマナティーを増やさないようにするためにも、原因の特定と解決が急がれています。
この穏やかで優しい動物が安心して暮らせる環境が、一刻も早く戻ってくることを願ってやみません。(広報 山本)