干潟と人のつながりを学ぶ講座 黄海・韓国での取り組み


自然保護室の安村です。韓国に行ってきました。
行き先は、黄海エコリージョン支援プロジェクトの一環として、全羅南道(ぜんらなんどう)ムアン郡で実施している、干潟保全の取り組みの現場です。

ここでは、韓国のNGO生態地平研究所(EHI)と、研究機関である韓国海洋研究院(KORDI)が、ムアン郡海洋課、地域の住民の方々と共に、海の持続可能な利用と保全、そして水産物を活かした地域振興に取り組んでいます。

今回は、EHIが環境教育のインストラクター養成のため開催している、連続講座にも参加してきました。

当日のテーマは、干潟での伝統的な漁業活動とその文化。講師は全羅南道発展研究院のキム・ジュンさんで、受講者は、専業主婦、農家、ムアン郡役場、ムアン生態干潟センターの職員、製塩業を営んでいる方々など10名です。

キムさんは、今年7月にWWFで実施した、日韓干潟交流ツアーの参加メンバーでもあり、嬉しい再会となりました。

講義では、地域の人たちが海と干潟から食料を得て、芸能や文化を培ってきたことを、四季を通じた漁業の映像やさまざまな漁具のイラストを交えながら、キムさんが丁寧に説明していました。

私も最後にご挨拶する機会をいただいたので、エコツーリズムや環境教育の担い手である地域の皆さんの活躍に対する期待をお伝えしました。
干潟の環境が悪化し、それと共に生きてきた文化や知恵が失われつつある中、地域の人たちの活動は干潟保全の大きな力なのです。

住民、研究者、NGOや企業、行政の関係者と、さまざまな立場の人たちが、国境を越えて協力し、海の保全に取り組むところが、このプロジェクトの面白く、また価値あるところです。また続報をお伝えします。

 

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講義の様子。キムさんは、今年7月に WWFで実施した、日韓干潟交流ツアーの参加メンバーでもあり、嬉しい再会となりました。

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キムさんは、長年、海洋文化の研究を
しており、韓国の干潟文化に関する書籍も出版されています。美しい 写真やイラストがたくさん入っています。

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講座の翌日は、国連開発計画・GEF黄海プロジェクトが開催した中国・韓国の保全関係者が海洋保護区について情報交換する会合に参加してきました。ここでムアンでの保全活動について発表し、EHIのような、関係者をつなぐ コーディネータの役割の大切さについて お話しました。

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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