「2015年合意」へ向けての交渉がいよいよ本格化する?


温暖化・エネルギー担当の山岸です。
今年最初の国連気候変動会議のため、ドイツのボンに来ています。今回は、1週間(10日~14日)の日程で開催されています。

この3月の会議では、2015年末にパリで予定されている、温暖化防止のための「新しい国際枠組み」の合意へ向けて、本格的な交渉が開始できるかがポイントです。

昨日12日までの会議では、いくつかの論点について順繰りに議論を進めていましたが、昨夕、少し動きがありました。

夕方に開催された進捗確認のための総会で、今後の交渉の進め方について議論があり、交渉の「場」が変更されることが(ほぼ)決まったのです。

これまでの議論は、Open-ended consultation と呼ばれる、やや緩やかな議論の場でしたが、Contact Group と呼ばれるより「公式性」の高い本格交渉の場に、移行することが決まりました。

この背景には、2015年合意の下書きとなる「交渉テキスト」を作る作業に向け、いよいよ交渉を本格化しなければいけない、という各国の主張がありました。

先進国の多くには、まだ「時期尚早では」という懸念もあったようですが、途上国の強い主張もあり、より公式度の高い、交渉ができるContacg Group の設立が、会議の最終日に決定される見通しです。

交渉をするための「場」を決める議論ごときが、なぜそんなに重大なのか、と思われるかもしれませんが、裏を返せば、それだけ、これからの交渉が厳しくなっていくことの兆しだとも言えます。

2015年末の期限まで、あと2年を切っている割には、恐ろしくゆっくりとではありますが、着実に、交渉は本格化の様相を呈しています。

そして、その交渉では確実に「次期(おそらく2030年へ向けて)の削減目標」が議論になります。日本の国内議論も、うかうかしていられません。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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