森のスペシャリストによる野生生物の調査


こんにちは、広報の増本です。
先日、ボルネオ島東カリマンタンの熱帯林へ行った際、森に生息する野生生物たちを調査するための「カメラトラップ」の設置現場に足を運んできました。

この「カメラトラップ」は自動撮影カメラのことで、動物がレンズの前を横切ると、赤外線のセンサーが反応してシャッターが切られ、人がいなくてもその姿を捉えることができます。

どこにどんな動物が暮らしているかを知るためには、比較的アクセスしやすい車道や川沿いから、何キロも離れた森の中にたくさんのカメラを設置しなければなりません。今回の調査では、実に100台(!)ものカメラが設置されています。

カメラの設置場所にたどりつくのも一苦労です。今回私も、WWFインドネシアのスタッフについて森を歩きましたが、森のなかに道はなく、足元のおぼつかないなか、鉈で藪を切り開くように前に進みます。

当然ながら案内板もないため、GPSを頼りに目的地をめざすのは、心細い気持ちになりました。

さらに、今回訪れた森の広さはなんと約10万ha。東京都の半分近い面積です。スタッフの話では、設置されたカメラの撮影データ回収やバッテリー交換のために、2週間も森に入るとのこと!

アップダウンの多いこの道を、機材や荷物を背負って歩き続けるのは、並大抵の労力ではありません。まさに森を熟知したスペシャリストである彼らを前に、頭が下がる思いでした。

一方、彼らの努力の甲斐あって、着実に成果も出ています。2012年にスタートしたこの調査により、これまでに33種の野生動物が確認されました。その中には、ウンピョウ、マレーグマ、ボルネオヤマネコといった絶滅が危惧されている種も含まれています。

自分の目で動物たちを目のあたりにする機会はきわめて稀ですが、生きものたちがたしかに生息する世界有数のこの豊かな森を、未来に残していかなければと思いました。

道なき森の中を進みます

自動撮影カメラを設置する様子。中央がカメラの管理を一手に引き受けている、WWFインドネシアスタッフのサルジュニさん

自動撮影カメラがとらえたマレーグマの親子

同じくウンピョウ

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ブランドコミュニケーション室(ソーシャルモビライゼーション グループ長)
増本 香織

一橋大学社会学部卒、在学中にオーストラリアメルボルン大学に留学し環境学を専攻。在学中に国際保健系NGOでインターン、卒業後は国内オーガニック食材流通の草分け的なソーシャルビジネスでマーケティングを担当。2013年にWWFジャパン入局、広報部門でWeb・SNSの戦略的運用やキャンペーン業務、資金調達部門でのサポーターリレーション業務に従事し、2020年度より現職。ひとりでも多くの方が、地球や生きものたちのためにアクションを起こしたくなるような、気持ちが動くコミュニケーションを目指しています。森林インストラクター、薬膳インストラクター。

大学時代のインターンや前職を含め、ずっとNGOに携わっています。心から貢献したいと思える仕事に就けるありがたさを感じつつ、1歳と3歳の子育てにも奮闘中。上の子は「なんで?」「どうして?」真っ盛りの時期で、「お母さんはどんなお仕事をしているの?」「パンダのお世話?」と聞いてきます(笑)子どもたちの世代にどんな地球が残せるかは、今を担う私たちにかかっています。

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